ヴィンセントが教えてくれたこと(ネタバレ注意)
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最終更新日:2023/04/09
ドラマ セイント・ヴィンセント, ビル・マーレイ, ボブ・ディラン
アルコールやギャンブルに溺れる老人ヴィンセントは、となりに引っ越してきた小学生オリバーの面倒を見ることになる。相手が小学生でも容赦なく毒舌を吐き、競馬場やバーに連れていくなどムチャクチャなことをする。一方で、小柄で非力なオリバーにケンカのやり方を教え、男としてのあり方を諭す。
身近な聖人「セイント」についてまとめて発表する学校の課題について、オリバーはヴィンセントを取り上げることに。そして発表当日。オリバーは、毒を吐きギャンブルに執着するのはヴィンセントの表面であり、別の面を持ち合わせていることを明らかにする。ベトナムに出兵し将校を救ったこと、認知症で自分を認識できない妻を8年間看病し続けたこと、などを語り、ヴィンセント本人を紹介する。
ヴィンセントをビル・マーレイ、オリバーの母をメリッサ・マッカーシー、ヴィンセントと付き合いのある「夜の仕事」をする女にナオミ・ワッツ。なんと言ってもビル・マーレイで、ダメおやじぶりを発揮する一方で妻の看病を献身的に行い、それとなくだが優しさをにじませる役にハマりすぎている。ナオミ・ワッツのやさぐれ感もいい。
原題は、まさに『St.Vincent/セイント・ヴィンセント』。女性アーティストのアニー・クラークは、セイント・ヴィンセントを名乗って活動している。この「St.Vincent」は、詩人ディラン・トマスが亡くなったニューヨークの病院名から引用されたそうで、今回のタイトルもそれに掛かっているのかも。
エンドロールが流れる中、ヴィンセントがウォークマンでボブ・ディランの『Shelter From The Storm』を聴きながら自らも口ずさむ。ボブ・ディラン-ディラン・トマス-セイント・ヴィンセント-ヴィンセントというふうに、掛かっていたのでは?
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