高校時代の友人

ワタシが浜田省吾の名を初めて知ったのは、シングル『ラストショー』がヒットしたときで、確か中学生だったと思う。『Money』『J Boy』でピークを迎えていたときは、高校生。このときまでは、秋田に住んでいた。確かに『Money』や『J Boy』は当時でも聴き覚えがあったが、それでもワタシが浜田省吾にのめり込むことはなかった。高校時代のワタシはまさに洋楽にハマり始めたばかりの頃で、毎週のように全米ヒットチャートのランキングをチェックし、FM雑誌を買ってラジオのエアチェックに励み、テレビでは小林克也の「ベストヒットUSA」を楽しみにしていた。

高校1年と3年のときの同級生で、浜田省吾が大好きな奴がいた。彼は趣味が幅広くて洋楽も聴いていたので、ワタシとはそれなりに話が合った。しかし「浜省はいいぜ」と彼が言っても、ワタシにはピンと来ていなかった。その時期に浜田省吾はツアーで秋田にも来ていて、彼はその公演を観に行っていたと思う。その頃のワタシはコンサートに行くことが習慣になる前で、ほとんど他人事のように思っていた。

ワタシが浜田省吾のCDを聴いたり買ったりするようになったのは、90年代になってからのこと。テレビ番組とタイアップしたこともあり、CDも入手しやすくなったのだ。そして昨夜、ついに初めて浜田省吾のライヴを観た。客電が落ちる直前、ワタシはふとこの友人のことを思い出した。今これからワタシが体験する素晴らしい時間と空間を、彼は15年も前に体験済みだったことになる。高校卒業以来彼とは交流がなく、今はどこで何をしているかもわからない。もしこの後彼に会う機会があったら、君よりは随分と遅れたけど、オレも浜省のライヴを観たよ、と、ひと言伝えたい。