*

遊星からの物体X(1982年)

公開日: : 最終更新日:2024/05/11 カート・ラッセル ,

遊星からの物体X

南極大陸において、ノルウェー観測隊のヘリがハスキー犬を追ううちにアメリカ観測隊基地へたどり着く。ノルウェーの隊員はなおも犬を殺そうと銃撃し、アメリカ隊員のひとりに銃弾が当たってしまったことを受け、隊長がノルウェー隊員を射殺する。

状況確認のためにノルウェー観測基地に向かった隊員のマクレディらは、ノルウェー隊員たちのおぞましい死体を目の当たりにする。やってきた犬は犬小屋に入れられるが、夜になると顔が割れて触手が飛び出し、異形の化け物に変形して他の犬たちを襲う。マクレディは、火炎放射器で化け物を焼き払う。

南極大陸の基地という、孤立したある意味閉鎖的な空間を舞台とし、得体の知れない生物に隊員たちが心理的に追いつめられていくSFホラーだ。小説を原作とし、1951年に一度映画化されているが、リメイクというより本作の方が原作に忠実とのこと。

劇中のキャラクターたちが置かれた状況は、『エイリアン』に通ずるものがある。こちらは、宇宙船内という密閉された空間において、隊員のひとりに寄生したエイリアンがみるみる成長し、隊員たちを次々に襲っていく。

たた、本作とは決定的に異なる点がある。『エイリアン』では、いつ襲われるかわからないという恐怖感を隊員全員が共有し、エイリアンを捕獲するという秘密の使命を持ったアンドロイドのだけが別の行動を取ろうとする。

対して本作では、化け物に寄生する物体の正体がわからず、血液(の中に潜んでいる)ではと仮説を立てる。よって、見た目では誰が寄生されたか判別できず、隊員同士を疑うという、もうひとつの恐怖感が上乗せされているのだ。

犬や人間に寄生し同化したときの、化け物の特殊メイクのクオリティが非常に高い。見た目の気持ち悪さと、異形なるものに襲われるという恐怖感が観る側にも伝わってきて、説得力がある。

ラストも秀逸。基地をまるごと爆破して化け物を仕留めたが、極寒の地で住むところを失い、外部と通信する手段もない。そして、ほんとうに仕留めることができたというのも微妙で、生き残ったマクレディともうひとりの隊員のうち、どちらかが寄生されていないとも限らない。

マクレディは、監督はジョン・カーペンター。本作は、前年公開の『ニューヨーク1997』に続くコンビになる。

関連記事

スターゲイト(1994年)

1928年に、エジプトで発見された巨大な環。不可思議な文字が刻印されたこの環は、アメリカ空軍

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑