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トム・ヨーク(Thom Yorke)@東京ガーデンシアター 初日

トム・ヨーク(Thom Yorke)@東京ガーデンシアター 初日

約半月に渡る来日公演を敢行中の。この日は日程的に終盤になり、ここまでの各公演の模様は既にネットに流れてきている。セットリスト以外の情報は極力仕入れないようにして、この日を迎えた。

予定を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、向かって右の袖からトムが入場。ダボダボのスラックスに、ジャケットといういでたちだ。髪はオールバックにし、ヒゲをたくわえていた。『The Eraser』の弾き語りスタイルで、ライヴはスタートした。

ステージ上の機材は、複数のキーボードとコンソールが割とコンパクトにまとめられている。トムひとりで、演奏/操作がしやすいように整理した結果だろう。それでも、時には歌っている最中ですらトムはサンプリングのセッティングをすることがあった。

両サイドおよびバックドロップのスクリーンからは、アブストラクトでエレクトリカルな映像が発せられていた。多くの曲ではエフェクトをかけたトムの顔をシンクロさせていたが、あらかじめ作成していたのか、あるいは歌唱中のトムをリアルタイムで適用していたのかもしれない。

セットリストは、ソロ、、そしてを混在させていて、パートを区切って各キャリアの曲を、とはしていない。機器の調整だけでなく、こうした構成もあってか、1曲毎に若干のインターバルができる。ただ、一般のライヴなら間延びしかねないところを、このライヴでは次はどうなる、どうくるという、観る側としてちょうどいいいい「溜め」になっている。

ひとりきりで、そしてエレクトロニカル主体につき、『Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box』などは大胆なアレンジが施されていた。対して、ソロやアトムスの曲はそもそもがエレクトロニカルなので、この場では一層映えていた。

エレクトロニカルがベースではあるが、時折ギターを手にするトム。『Let Down』『Fake Plastic Trees』といったレディオヘッドの曲はアコースティックとの親和性が高く、充分聴き応えがあった。レディヘの曲は、やはり場内のリアクションがいい。トムはいつのまにかジャケットを脱ぎ、Tシャツ姿になっていた。

『Kid A』は、個人的に好きな曲だ。アルバムのタイトル曲でありながら看板曲にはなっておらず、むしろ秘密兵器のような位置づけになっている。個人的にライヴではじめて観たのは、「あの」2003年のときだ。マリンステージから別世界へと誘われる感覚があり、「あの」オーラスへの布石にも結果的になっていたと思っている。

ここでは、バックの映像はより一層鮮やかになり、メロディー、ビート、トムのヴォーカル、これらが融合した素晴らしい空間が出来上がった。この曲がレディヘのあまたある曲群の中でちゃんと市民権を得たように思え、嬉しかった。

終盤は『Reckoner』でギアがひとつ上がった感があり、『Idioteque』で本編を終了。アンコールは『Everything in Its Right Place』で始まったが、なんと鍵盤弾き語りではなく、サンプリングに乗せてトムがスタンディングで歌うスタイルだった。この曲に限らず、それまでのスタイルとはいろいろ変えてきていて、観る側としては驚かされっぱなしだ。

『Cymbal Rush』を経て、オーラスはセミアコでの『How to Disappear Completely』。演奏が終わると、トムは3度深くお辞儀して挨拶してくれた。その佇まいは、レディオヘッドのライヴのときと同じだった。

セットリスト
1 The Eraser
2 Let Down
3 Last I Heard (…He Was Circling the Drain)
4 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box
5 Suspirium
6 Fake Plastic Trees
7 Kid A
8 Atoms for Peace
9 Bloom
10 Present Tense
11 Not the News
12 Hearing Damage
13 Default
14 Volk
15 Rabbit in Your Headlights
16 Reckoner
17 Back in the Game
18 Idioteque

アンコール
19 Everything in Its Right Place
20 All I Need
21 Cymbal Rush
22 How to Disappear Completely

このツアー、セットリストは大きく2パターンになっていて、かつ公演毎に微妙に変化しているようだ。明日24日の公演にも足を運ぶので、引き続き楽しみにしている。

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