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ピーター・フックによるジョイ・ディヴィジョン再現


Unknown Pleasures: Live In Australia by Peter Hook And The Light

ワタシがハシエンダに参加した目的はいたってシンプルで、ピーター・フックとの2組が観られるからだった。フェスの場合、気になるアーティストがひと組だけだとなかなか決断できないが、2組エントリーされていればワタシの場合決断できることが多い。

とはいったものの、何度かライヴを観ていてハズレなしと事前に確信できていたシャーラタンズはともかく、ピーター・フックについては実際に観るまで期待半分不安半分だった。のフリーベースのときも、ラストに『Love Will Tear Us Apart』が演奏されたとき、嬉しいというよりは、あーあやっちゃったよーという、ちょっぴり複雑な気持ちになっていた。

結論から言うと、ワタシが体感した限り、フッキーがのアルバム全曲ライヴやプラスアルファを敢行したのは、アリだ。ワタシは支持したい。

ジョイ・ディヴィジョンというと、どうしてもイアン・カーティスありきで考えざるをえないし、イアン亡きあとを牽引してきたのは、バーナード・サムナーだった。そして、フッキーだ。やや強引に考えれば、3人の立ち位置は以下のように見ることができる。

イアン・カーティス=シド・バレット
バーナード・サムナー=ロジャー・ウォーターズ
ピーター・フック=デイヴ・ギルモア

バーニーありきのニュー・オーダーで、バーニーに迫ることはあっても超えることはなかったフッキー。そのフッキーが、増してやイアンと共にアンタッチャブルな領域に鎮座するジョイ・デイヴィジョンに手を出すとは、これいかに?という空気が、間違いなくあったはずだ。

しかし、フッキーとて無能ではない。ケンカ別れしたバーニーたちへのあてつけというレベルでなく、ジョイ・ディヴィジョンの封印を解くことに相当の覚悟をし、腹を決めて臨んだはずだ。だからこそ、曲自体の魔力におんぶにだっこのノスタルジックなライヴにはならず、今鳴らすべき音として響いたのだ。イアンをまねるのではなく、自分のあるがままをぶつけることによって、逆にそれがリアリティーを生み出した。2日間のパフォーマンスを観て、ワタシはそう受け取っている。

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