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わが青春のアルカディア(1982年)

公開日: : 最終更新日:2023/06/25 キャプテン・ハーロック

わが青春のアルカディア

宇宙に進出していた地球人は戦いに敗れ、地球はイルミダス星人の統治下にあった。難民を乗せた宇宙戦艦デスシャドウで地球に戻ったハーロックも、そして地球人全体も、希望を失いつつあった。マーヤという女性が地下放送で勇気づけるメッセージを発信する活動を続けていて、彼女はハーロックが愛したただひとりの女性だった。

大山トチローと知り合ったハーロックは、ふたりの先祖が1000年前の第二次世界大戦時に交流していたことを知る。トカーガ星人は母星や住民を人質に取られ、やむなくイルミダスの傭兵になっていたが、イルミダスがトカーガ星を攻撃。ハーロックは、トカーガ星を救うためにトチローが密かに建造していた宇宙戦艦アルカディア号を発進させる。

当時は『銀河鉄道999』『さよなら銀河鉄道999』『1000年女王』と松本零士作品の劇場公開が続き、そしてこれらは世界観を同じくしていた。本作は、その締めくくりの位置づけとして公開された。個人的に劇場まで観に行ったが、そのとき以来で今年観た。

劇中の時間軸は『999』2作よりも少し前になり、ハーロックが宇宙海賊になるまでが描かれるほか、いくつかの件が明らかになっている。ハーロックがマーヤをかばって右目を失う、エメラルダスが顔に傷をつけられる、エメラルダスとトチローの出会いなどだ。ハーロックとエメラルダスは、以前から面識があったらしい。傷をつけられる前のエメラルダスは、少し優しい顔付きに見えた。

メインのプロットこそ劇場版オリジナルだが、『戦場まんがシリーズ』からの流用がいくつかある。まず、冒頭がファントム・F ・ハーロックが複葉機でスタンレー山脈に挑むシーンで、『スタンレーの魔女』から。ハーロックの先祖ファントム・F・ハーロック二世と大山敏郎との邂逅は本作のタイトルにもなっている『わが青春のアルカディア』からだ。

中盤、トカーガ星が消滅してしまい、地球に戻る途中で二重太陽の炎の河で老トカーガ兵らが身を投げるさまは、『スタンレーの魔女』で日本兵が機体を軽くするために身を投げる描写の流用だろう。劇中では、ファントム・F・ハーロックがスタンレー山脈に挑んだ冒険記を『スタンレーの魔女』として出版されていて、二世も、大山敏郎も、主人公のハーロックも、その書籍を所有している。

キャストは、ハーロック/ファントム・F・ハーロック二世は井上真樹夫、トチロー/大山敏郎は富山敬、エメラルダスは田島令子で、テレビ版や『999』から不動。マーヤは武藤礼子、トカーガ兵ゾルは池田秀一、老トカーガ兵は森山周一郎(『さよなら銀河鉄道999』の老パルチザン兵)、イルミダスの司令官ゼーダは石田太郎(『ルパン三世』のカリオストロ伯爵)、魔女は増山江威子だ。

そして、ファントム・F・ハーロックは石原裕次郎だ。ぼそぼそとした口調はやや聞き取りにくかったが、雰囲気は出ていた。但し、一般の声優を遥かに上回る高額なギャラが、話題にもなっていたようだ。序盤には、松本零士のようなキャラがカメオ出演。声優も、ご本人だったのかな。

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