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英国王のスピーチ(日本公開2011年)

英国王のスピーチ

1925年、大英帝国博覧会閉会式でヨーク公アルバート王子は演説するが、吃音症のため散々な結果に終わってしまう。夫人のエリザベスはオーストラリア出身で言語療法士のライオネル・ローグを訪れ、アルバートの吃音症改善を依頼する。ローグは王室に関係なく対等な関係を求め、反発していたアルバートもある条件では吃らなくなっていることに気づき、治療を続ける。

1936年に父のジョージ5世が崩御し、アルバートの兄デイヴィッドがエドワード8世として王位につく。しかしエドワードは離婚歴のあるアメリカ人女性との結婚を望み、教会や政界などから反発を受けて退位。アルバートが、ジョージ6世として王位につく。1939年、ヒトラーのドイツがポーランドに侵攻。ジョージ6世は、英国民に向けてスピーチをおこなうことになる。

吃音症に悩まされたジョージ6世と、その治療に当たったライオネル・ローグとの友情を、史実に基づいて描いた作品になる。ローグは、吃音症の原因が乳母からの虐待や左利きを無理やり右利きに矯正されたことなど、幼少時の不遇な体験にあることを見抜く。ふたりは時に仲違いもしたが、ジョージ6世は平民のローグを公式行事でも近くにいることを許し、ローグはすべてのスピーチに立ち会ったそうだ。

キャストは、アルバートに。王子や国王としての威厳を保ちつつ吃音症を演じるのは、役作りがかなり難しかったのではないかと思われるが、見事にやり切った。ローグはジェフリー・ラッシュという人で、アルバートの先生であり友人であるという役どころを、こちらも見事にこなしている。

ハリー・ポッター』シリーズに出演している俳優が、多いことにも気づかされる。アルバート夫人のエリザベスは、(ベラトリックス)、ウィンストン・チャーチルはティモシー・スポール(ペティグリュー)、ジョージ5世はマイケル・ガンボン(ダンブルドア)だ。

監督はトム・フーパーで、『リリーのすべて』も手掛けた人。本作はアカデミー作品賞、脚本賞、主演男優賞を受賞している。

ジョージ6世には、ふたりの娘がいた。長女がエリザベス、次女がマーガレット。本作にも、子役がふたりの役で出演している。エリザベスは、父の死後25歳の若さでエリザベス2世として即位している。

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