鬼滅の刃 遊郭編

遊郭に潜入させていた宇随天元の3人の嫁、雛鶴・まきを・須磨からの定時報告が途絶えた。宇随は炭治郎・善逸・伊之助の3人を引き連れ、女装させて遊郭に潜入させる。炭治郎たちは3人を探す中で遊女のひとりの正体が「上弦の陸」堕姫とわかり、対決する。死闘の末なんとか堕姫の頸を切り落としたと思った瞬間、体内から兄の妓夫太郎が登場する。

テレビシリーズは、2021年12月から第2フェーズに突入。まずは劇場公開された『無限列車編』が、新作の第1話を含む全7話で放送され、そして『遊郭編』がスタートした。堕姫の正体が判明するまでが割と早かった印象があり、その分炭治郎たちとの戦いがクローズアップされている。

禰豆子が戦いの中で自身を制御できなくなったり、炭治郎がヒノカミ神楽で体力の消耗を幾分か抑えられるようになったり、継国縁壱の精霊が登場したり、と、後半は1話毎にクライマックスを迎える状態だった。まるで生き物のように自在に伸びて攻撃を仕掛ける、堕姫の帯も鮮やかだった。

妓夫太郎と渡り合う宇随には、猗窩座と戦った煉獄杏寿郎の姿が重なる。あのときと違うのは、炭治郎・善逸・伊之助の成長だ。善逸は気絶を条件とはするが、その動きが稲妻のように加速できるようになった。伊之助は、師匠を持たない完全我流であるにも関わらず、炭治郎や善逸との連携プレイもこなす。3人には、煉獄の遺伝子が継承されていることが感じられる。

妓夫太郎の声優は、逢坂良太という人。気持ちの悪いしゃべり方にはなかなか慣れなかったが、鬼になる前の悲しい境遇のときにはそれが感じられず、役を見事に演じていると思った。堕姫の沢城みゆきは、『ルパン三世』の峰不二子や『PSYCHO-PASS サイコパス』の唐之杜志恩など、大人の色気を漂わせる役のイメージが強い。しかしここでは、少女性を前面に出していて、彼女だとわからなくなる瞬間があった。

宇随は、死ぬことはなかったが、代償に左腕と左目を失った。当初は小物扱いしていた炭治郎たちを、戦いの中で認めた。声優は小西克幸で、歯切れがいい声質は、実は面倒見がよくそして超美形でもある、宇随のキャラクターに合っていたと思う。