*

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ “Tour De France”

公開日: : 最終更新日:2024/04/21 Kraftwerk

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ "Tour De France"

アルバム8枚全曲演奏の8公演も、いよいよ今夜が最終。スタンディング公演を複数回行く際、ワタシは毎回ポジションを変えることにしているのだが、今回はステージ向かって左前方に。つまり、ラルフ・フローリアン側に陣取った。

SEがかかるのが若干遅れ、なのでスタートも若干遅れる。1983年バージョンの『TOUR DE FRANCE』からスタート。そしてほとんどメドレー式に2003年リリースアルバム『TOUR DE FRANCE』になだれ込む。タイトル曲は組曲風になっているのだが、『TOUR DE FRANCE ETAPE 1 / 3』『CHRONO』はイコライザー風の映像で段階的に色が変わった。そして『TOUR DE FRANCE ETAPE 2』となり、他の公演日でも流れたモノクロの実際のツール・ド・フランスの映像になる。この組曲が楽しめるのは、今回の公演ではこのときだけだ。

その後も捨てがたかった。『AERODYNAMIK / TITANIUM』『ELEKTROKARDIOGRAMM』『LA FORME / RÉGÉNÉRATION』は、直線や曲線を駆使したシンプルな映像だが、他の曲の映像ともかぶることがなく、そしてアルバムとしての統一性があってとてもよかった。オリジナルアルバムとしては、1986年の『TECHNO POP』以来17年ぶりのリリースで、その間ダンス/テクノ勢は一時代を築き上げた。そうした後輩たちに対するアンサーが、このアルバムのような気がする。

こうして全曲演奏がは終了し、そしてキャリア総括モードへ。この日が4公演目になるワタシにとって、ぶっちゃけ飽きた曲とそうでない曲に2分されつつあるのだが、前者の代表格は『THE MODEL』、後者の筆頭格はやはり『RADIOACTIVITY』だ。ラルフが日本語で歌い上げ、映像に日本語の歌詞が出るのは、何度観ても感動的だ。英米のようにロックの本場でもなく、言語の壁がつきまとうこの国に、ここまで寄ってくれる彼らは、なんと素敵なのだろう。そしてそのシリアスなメッセージをワタシたちは噛み締め、向き合っていかなくてはならない。

11日の『THE MAN MACHINE』デーではファルク・グリーフェンハーゲン側にいて、ラルフ以外の3人の様子をかなり知ることができた。そして今回だが、なんとラルフの足元にもペダルがあることがわかった。ラルフはベタ踏みにしていることが多く、遠目ではペダルの存在がわからないわけだ。また、ラルフの髪の色はブラウンだった。へえ。

『COMPUTER LOVE』の後が『BOING BOOM TSCHAK』となり、え、『DENTAKU』なし?と一瞬ビックリ。しかし、ここで素早く気を取り直す。曲数よりもトータル時間を2時間でキープすることを彼らは意識していて、今回の『TOUR DE FRANCE』はアルバムとしては長尺な方なので、きっとこのような構成になったのだろう。・・・と、自分に言い聞かせる。

『MUSIQUE NON STOP』では、いつものようにひとりずつソロプレイをした後にステージを去っていった。ラストのラルフは、左腕の時計を見るような仕草をした。もう時間なんだよ、というジェスチャーだろうか。こうして、「Musique non stop~」という音声が、ランダムに響き渡った。ワタシはここで移動を開始し、扉の寸前まで来たところで年のためステージの方を振り返った。

すると、なんと4人が卓の前にスタンバッていた!

今回の公演、ここまで全くアンコールは行われなかった。まさか?まさか!場内の興奮のヴォルテージは、ここで最高潮に達した。そして曲は、『POCKET CALCULATOR』から『DENTAKU』へのメドレー!この国での公演で『DENTAKU』が落ちることなどありえないと思ってはいたが、まさにこの土壇場で彼らは放ってきたのだ。オリジナルの『POCKET CALCULATOR』は小気味よく響き、そして『DENTAKU』は合唱になった。のライヴがこんなにオーガニックになるとは、誰が予想できた?

オーラスは、本編から落ちたあとひとつの佳曲『PLANET OF VISIONS』。本来そんなに盛り上がりを見せるはずのない曲なのだが、しかしこの場ではまたもオーガニックに機能した。演奏が終わると、4人はステージ向かって右端に横一列になって礼。ワタシは98年以降のクラフトワークの来日公演で、単独もフェスも欠かしていないが、『MUSIQUE NON STOP』で終わらず、4人が一列になって挨拶するなど、見たことがない。これって、もしかして世界的にも貴重なシーンかな。

1. TOUR DE FRANCE 1983 + INTRO
2. TOUR DE FRANCE ETAPE 1 / 3
3. CHRONO
4. TOUR DE FRANCE ETAPE 2
5. VITAMIN
6. AERODYNAMIK / TITANIUM
7. ELEKTROKARDIOGRAMM
8. LA FORME / RÉGÉNÉRATION
9. AUTOBAHN
10. RADIOACTIVITY
11. GEIGER COUNTER
12. TRANS-EUROPE EXPRESS
13. THE ROBOTS
14. SPACELAB
15. THE MODEL
16. THE MAN MACHINE
17. NUMBERS
18. COMPUTER WORLD
19. HOME COMPUTER
20. COMPUTER LOVE
21. BOING BOOM TSCHAK
22. MUSIQUE NON STOP
– encore –
23. POCKET CALCULATOR
24. DENTAKU
25. PLANET OF VISIONS

東京8公演、無事終了。参加された皆さん、そしてクラフトワークの4人、おつかれさまでした。

関連記事

クラフトワークの前身ユニット、オルガニザツィオーン(Organisation)の『Tone Float』

クラフトワークが、まだクラフトワークを名乗る前にオルガニザツィオーンというユニットで活動して

記事を読む

クラフトワーク(Kraftwerk)、アルバム8枚再現ライヴで来日

去年No Nukes初日のヘッドライナーとして来日したクラフトワークが、早くも単独再来日を果

記事を読む

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ "The Man Machine"

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ “The Man Machine”

昨日とおとといは会社帰りに直行したこともあり、開演時間に近い会場入りで、既に8割方客が入った

記事を読む

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ "Trans-Europe Express"

クラフトワーク(Kraftwerk)@赤坂BLITZ “Trans-Europe Express”

昨夜の公演を見終わった後に半ば勢いでチケットを取り、今夜も参戦。チケットにはABCDと一見ブ

記事を読む

クラフトワーク(Kraftwerk)東京公演(の周辺)を振り返る

『Autobahn』から『Tour De France』までのアルバム8枚全曲を日替わりで演

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑