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アンタッチャブル(1987年)

アンタッチャブル(1987年)

1930年、禁酒法時代のシカゴ。アル・カポネは酒の密造で莫大な利益をあげ、市長も警察も買収し、暴力と金で実質的に街を支配していた。政府は、財務省のエリオット・ネスを派遣。エリオットは、信頼できるメンバーを集めてチームを編成する。

チームのメンバーは、初老の警官でシカゴの裏事情にも精通するマローン、新米警官で射撃の名手ストーン、財務省から追加派遣された経理に明るいウォレス、そしてエリオット。カポネを脱税で起訴する方針を固めた4人は、カナダ警察と協力して密造酒の取引現場を押さえ、一味の帳簿係と帳簿を入手。しかし、カポネは報復としてウォレスを帳簿係ごと殺害し、更にはマローンも殺されてしまう。

テンポよく進行し、観ていてダレる箇所がほとんどない。クライマックスは、大きく2回。駅構内でのベビーカーの階段落ちを絡めたカポネ一味とエリオット、ストーンの銃撃戦。当初エリオット目線で進行するが、赤ちゃんを助けるか一味を撃つかの二択に迫られたとき、ストーンが階段下から駆けつけて銃を渡し、エリオットは一味を仕留め、ストーンは赤ちゃんを保護。この一連をスローで表現し、緊迫感を増幅させている。

続いては、法廷でのカポネの裁判。証拠を押さえ有罪間違いなしと自信満々のエリオットだったが、陪審員も裁判長も買収されていると気づく。エリオットは裁判長にあることを言って公正な裁判をおこなうよう訴え、一方で法廷を離席したカポネの部下が気になり後を追うと、その男がマローンを殺害した男だとわかる。

アル・カポネもエリオット・ネスも実在の人物で、本作はエリオットの自伝を原作としている。監督はブライアン・デ・パルマ、エリオットを、マローンを、ストーンをアンディ・ガルシア、カポネをと、かなり豪華な顔ぶれだ。

ケビン・コスナーは本作でスターダムにのし上がり、以降『フィールド・オブ・ドリームス』『ダンス・ウィズ・ウルブス』『JFK』『ボディーガード』と、正統派役で次々に主演。ショーン・コネリーは渋さの光る演技で、アカデミー助演男優賞を受賞している。

アンディ・ガルシアは、この後『ブラック・レイン』『ゴッドファーザーPART3』に出演し、本作はブレイク前夜の状態だ。当初はマローンを殺害するマフィア役だったが、演技力を見てストーンに起用されたとのこと。彼らを向こうにまわすデ・ニーロは、決して多くはない出番ながらさすがの迫力を見せる。頭髪を剃り上げて臨んだそうだ。

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