*

ひとごろし(1976年)

公開日: : 最終更新日:2023/02/12 出演作品

ひとごろし(1976年)

剣豪の仇討ちを名乗り出た武士の六兵衛は、実は臆病者で剣もまともに使えない、町の笑い者である。自分はおろか、妹にまで縁談の話が来ないことを妹に責められて名乗り出たのだが、とりあえず旅をする剣豪を追いかけたはいいが、剣で勝負などできるはずもなく、剣豪ににらまれては逃げ惑うばかり。そんな六兵衛がとっさに放った「ひとごろし~」という叫び声に民は反応し、これでいけるとばかりに、六兵衛は剣豪を追い詰める。

山本周五郎の原作で、一見どぎついタイトルとは裏腹に、武士と武士の一騎打ちとは異なる心理戦を、テンポよくかつコミカルに描いている。ふつうに戦えば剣豪が秒殺して終わりそうなものを、臆病者であるはずの六兵衛が徐々に剣豪を追い詰めるさまは痛快だし、剣豪が実は泳げなかったという設定も面白い。そしてラストだが、思いもよらなかった上手な終わり方をしている。

六兵衛を、妹を五十嵐淳子、剣豪を丹波哲郎が演じている。松田優作が時代劇をやっているというのがまず意外で、びびりまくっているキャラクターを演じているのもある意味貴重。ただ、この人は人間なんてカッコいいものじゃないというのが口癖だったそうで、役を引き受けたのは理にかなっているのかも。びびりでありながら終盤では丹波哲郎を圧倒していて、やはりこの人はすごいと唸らされる。

関連記事

陽炎座(1981年)

劇作家の松崎は、品子という女と偶然の出会いを重ね、この不思議な体験をパトロンの玉脇に話す。そ

記事を読む

人間の証明(1977年)

赤坂の高層ビルエレベーターの中で、ナイフで胸を刺された黒人青年が倒れ、まもなく死亡。殺人事件

記事を読む

俺達に墓はない(1979年)

刑務所帰りの島はヤクザのノミ屋の金庫を狙うが、なんと金庫を襲撃した先客がいた。島は男(滝田)

記事を読む

それから(1985年)

明治後期。長井代助は大学を出ても仕事につかず、親の資金によって優雅に暮らしていた。あるとき、

記事を読む

狼の紋章(1973年)

博徳学園の教師青鹿晶子は、夜道で少年がチンピラに刺されるのを目撃してしまう。その翌日、自分が

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑