*

ブロウアップ ヒデキ

公開日: : 最終更新日:2025/05/14 西城秀樹

ブロウアップ ヒデキ

西城秀樹が1975年夏に行った全国ツアーを記録した映像を観た。同年にテレビ放送され、秋に劇場公開されたそうだ。

ツアーは、富士山麓の野外特設ステージからスタート。秀樹は羽根とマスクをまとい、火の鳥?のイメージの衣装でゴンドラに乗って登場。この状況に、まず驚かされる。脱ぎ捨てて軽装になり、ヘッドフォンをつけながら歌っていた(イヤモニなどない時代だ)。その後全国を巡るが、公演によっては興奮したファンがステージに上がり、秀樹に抱きついていた。

ツアー最終の地が、大阪球場だ。客はスタンド席にのみ入れていて、グラウンドには大がかりなステージセットが。秀樹はフォーミュラカーを運転して登場し、ステージに駆け上がってライヴがスタート。クレーンに乗って片手に花火を持ちながら歌ったり、オープンカーに乗って球場内を回ったりと、ド派手なパフォーマンスだ。

『情熱の嵐』『傷だらけのローラ』では、客とのコールアンドレスポンスが起こり、この人のライヴだなと思わせてくれる。一方、富士山麓のライヴでは、なんとローリング・ストーンズの『Angie(悲しみのアンジー)』を英語詞で歌っていた。もともと洋楽に造詣の深い人と思ってはいたが、特にライヴの場では自身のアイディアを積極的に組み込んでいるさまが伺えた。

秀樹のどこが好きか?といったファンへのインタビュー、新宿発のツアーバスに乗車するファン、入場待ちの長い列など、開催周辺の様子も捉えられている。秀樹本人が、クルマを運転したり長い階段を上ったりしながら、アイドル歌手としての心境を語るシーンもある。

ビーチで遊ぶ若者や部活動に励む学生など、秀樹とは全く関係しないシーンも少なくない。秀樹のドキュメンタリーであると同時に、当時の世相を政治や社会ではなく、市井の目線から記録した映像とも感じられる。

ライヴのシーンが、合算しても全体の半分程度の時間になっているのが、少し残念。ただ、貴重な記録であることに変わりはない。このとき、秀樹は若干20歳。当時のアイドルはみなそうだったのかもしれないが、早熟すぎる。

関連記事

アナザーストーリーズ 運命の分岐点「西城秀樹という“革命”〜アイドル文化を変えた情熱〜」

BSで放送されている「アナザーストーリーズ」という番組で、3月に西城秀樹を取り扱ったことがあ

記事を読む

西城秀樹さんはキング・クリムゾン『エピタフ(Epitaph)』をカヴァーしていた

一部ネット上で話題になっているが、先日亡くなった西城秀樹さんは、ライヴでは洋楽アーティストの

記事を読む

西城秀樹さん死去

西城秀樹さんが16日に亡くなられた。63歳だった。死因は急性心不全だった。 郷ひろみ、

記事を読む

’85 HIDEKI Special in Budokan – for 50 songs –

西城秀樹が、1985年1月にシングル50曲を歌うライヴを武道館で敢行。その映像を観た。

記事を読む

S