トゥール（Tool）『Vicarious』

トゥールのビデオシングル、『Schism』『Parabola』は外盤リリースの約1年後に日本盤が出た。そして、『10000Days』からの『Vicarious』については、当時一向に日本盤が出る気配がないことから、外盤で買ってしまった（結局、日本盤はリリースされたのだろうか？）。

MVは例によって不気味で、ぎりぎり鑑賞に耐えうる芸術性を保っている。筋肉や骨格が透けて見える二足歩行の生物が、荒涼とした大地に立ち、その両目からはグレーで細長いボディーの別の生物がうにょうにょと出てくる。アングルはやがて無数の目玉が溢れる赤い洞窟のようなところになり、更にアングルが引いて、惑星とその中の巨大な斑点を捉えたところで終わる。新生物の誕生を描いたように思え、『2001年宇宙の旅』のラストを思い起こさせる。

特典映像としては、絵コンテのほか、約40分のドキュメンタリーがある（トゥールのMVパッケージは必ずコメンタリーがあるので、日本盤が出るのを待っていた）。MV制作に関わったスタッフのコメントを中心とし、合間にMVの一部分が流れるという構成だ。メイナード・ジェームス・キーナンの姿はなく、ベースのアダム・ジョーンズが登場。デザイナーでもあるアダムが、MV制作のブレーンのようだ。

スタッフのコメントは当然ながら英語なので、何を言っているのかはわからない。が、ひとりだけわかる人がいた。なんと、スタッフに日本人男性がいて、この人は日本語で話し、英語の字幕がつくという具合だったのだ。Yamada Yoshiyaという名前で、肩書きはモデラーとなっていた。アダムが描いたラフ案をパソコンでデザインとして興すというのがこの人の役割のようで、アダムやスタッフたちと仕事ができて光栄だったと語っていた。

現在は、Youtubeで視聴可能だ。

こうして観ると、トゥールの映像はやはり独特で、インパクトがある。ア・パーフェクト・サークルのPVが普通に思えてしまう。