浜田省吾『僕と彼女と週末に（DVD）』‎（2010年）

ラブソングと並び社会派ソングを歌い続けてきた浜田省吾だが、この映像作品は社会派面をクローズアップした、かなり異色の構成になっている｡
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‎明治から現代に至るまでの日本社会を代表する映像を配し、合間に浜田のライヴ映像を流すという具合だ｡社会的な映像は、日本人なら誰もが見たことがあると思われる代表的なものばかり｡およそロックアーティストの映像作品とは思えないという戸惑いと、でもこれだけの映像を集めて凝縮させたのは素晴らしいという思いとが、観ていて交錯する｡使用許可はもちろん取っているだろうが、とすればかなりの使用料を払っているはずなので、そこを逆に心配してしまう｡

ライヴ映像の方は、少し残念｡未発表映像満載という触れ込みだったので、2000年以降の素材が大半なのは、正直言って不満が残る｡80〜90年代の素材をもっと使ってほしかった｡いくつかの曲では画面が5分割になり、若い頃や今現在など、さまざまな浜田の姿を同時に確認することができる｡ただ、DVDならマルチアングル機能をつけて個別の映像だけを観られるようにしてもよかったのではと思う｡

このDVDがリリースされたのは、2010年｡タイトルを冠したツアーを2011年から行う予定だったが、そこへあの東日本大震災が発生｡一時はツアー中止も考えたそうだが、危機に直面したときこそと思い直り、ツアーを敢行する｡震災とその後の日本国内の状況を見るにつけ、‎未来を予見し警鐘を鳴らしていたのではと思わせる｡