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イギー・ポップ(Iggy Pop)『Live At The Avenue B』

公開日: : Iggy Pop/The Stooges

イギー・ポップ(Iggy Pop)『Live At The Avenue B』

のライヴ映像『Live At The Avenue B』を観た。1999年暮れにベルギーで行われたものだ。

この年イギーは『Avenue B』というアルバムをリリースしているのだが、この内容が恐らくは(この時点で)キャリア最大の問題作になっている。ポエトリーリーディングを始め、静かで淡々とした曲が多く、パンクのゴッドファーザーというイギーのパブリックイメージを見出すのは難しい。もう決して若くはない自分の状況を見据えた、内省的な内容になっているのだ。

それでライヴの方だが、まずは『No Shit』~『Nazi Girlfriend』という、『Avenue B』の冒頭2曲がそのまま披露される。イギーはステージに跪き、アコギを弾きながら切々と歌う。やがてバックバンドのトロールズが加わり、肉体性と爆音を駆使したお馴染みのライヴへとシフトしていく。しかし、中盤で何度目かのピークを迎えた後、再び『Avenue B』で場内をしっとりとさせた後、ラストスパートをかけていく。

このライヴは、イギーのパブリックイメージを体現しつつ、要所に『Avenue B』の曲を盛り込むことで、より一層感動的なステージに仕上がっている。剛球一本槍のパフォーマンスではなく、こうした形式のライヴをイギーが記録として残したいと考えたのも、頷ける気がする。

恐らくは、このときイギーは自身のキャリアを整理すべき時期にあったのだと思う。以降のイギーは、吹っ切れたように邁進し、そしてついに2003年には再編を果たすのだ。

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