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スパイダーマン ホームカミング(ネタバレあり)

スパイダーマン ホームカミング(ネタバレあり)

ニューヨーク。高校生のピーター・パーカーはアベンジャーズのトニー・スタークに認められ、特殊なスーツを授かる。放課後になるととして街の人々を救うが、トニーに子供扱いされていることに苛立ち、自分がもっと役に立つことを証明しようと焦っていた。

廃品回収業者のエイドリアンは、かつてアベンジャーズと戦った敵が残した地球外の金属の残骸から兵器を製造し、裏社会で売りさばいていた。ピーターは売買の現場を押さえようとするも、鉄の翼をつけたバルチャー(エイドリアン)に阻まれる。トニーはアーク・リアクターを遠隔で操ってピーターを救うものの、大事には関わらないようピーターを諭す。

映画版スパイダーマンは、既にサム・ライミ版3作、マーク・ウェブ版2作があって、今回は言わば再リブート版になる。と同時に、・シネマティック・ユニバース(MCU)の一連作に組み込まれている。劇中の時間軸では、去年公開された『シビル・ウォー』の直後にあたる(同作で既にスパイダーマンは登場済み)。また、エイドリアンが廃品回収をしていたのはアベンジャーズ1作目のニューヨーク決戦の残骸で、それが8年前ということになっている。

キャストは、ピーターにトム・ホランド。実年齢21歳だが、少年っぽい容姿はピーターに合うし、バック転やバック宙を難なくこなす身体能力の高さは、スパイダーマンにも合っている。エイドリアン/バルチャーはで、少し前に『バードマン』に出演していて、今回が空を飛ぶバルチャーだから、なんとも洒落が効いている。ピーターが高校で恋い焦がれるリズの父親でもあって、クライマックス直前の心理戦も見応えがあった。善人も悪人もこなせる、貴重な存在になっている。

今回はアイアンマンとのコラボレート色が強く、トニー・スタークはもちろんロバート・ダウニーJr.、運転手兼秘書のハッピーにはジョン・ファブローが、それぞれ演じている。今回のスパイダーマンでピーターの叔父が登場しないのは、ハッピーとトニーがピーターの叔父あるいは父代わりの役割も果たしているからだと思う。そしてラス前では、グウィネス・パルトロー演じるポッツが姿を見せている。

「ホームカミング」という副題は、劇中では高校のダンスパーティーに掛かっているのだが、ピーターの成長によってスパイダーマンがアベンジャーズに帰ってくることを暗示しているようにも受け取れる。また、後でパンフレットを読んでわかったのだが、今までスパイダーマンはソニーが映画化権を持っていて、MCUでは扱いたくとも扱えなかったという事情があったそうだ。それが権利関係の事情がクリアできたらしく、取り急ぎ『シビル・ウォー』で登場させた後に今作となった。つまり、スパイダーマンがMCUの仲間入りしたという意味合いもあったようだ。

というわけで、MCUの一環として観ればいい出来だと思う。が、サム・ライミ版やマーク・ウェブ版と比べてしまうと少し物足りない。

まずいい点だが、摩訶不思議なパワーがほとんど登場しない。ピーターが身につけるスーツはトニーが制作していて、リミッターを解除するとアイアンマンのような人工知能が発動しピーターと会話しながら次の手を打つことができる。クモ型の小型ドローンも飛ばし、ハイテク化が実現している。エイドリアンも、元の素材こそウルトロンの残骸だが、自らの手で製造することによりバルチャーになる。また、今回ピーターは早々に正体がバレてしまうのだが、その親友ネッドがハッキングなどでピーターをサポートするだけでなく、キャラもいい味を出している。これは、過去のシリーズにはなかった描写だ。

不満な点は、ストーリーや設定かな。ピーターが憧れるリズや、ピーターに気があるらしいミシェルは、どうにも魅力に欠けていて、が演じていたメリー・ジェーン、が演じていたグウェン・ステイシーに大きく劣る。描き方として、ピーターとトニー/ハッピーとの関係に重きを置き過ぎた感があるのだ。叔父叔母との関係あり、ガールフレンドとの恋愛あり、強大な敵との戦いあり、そしてニューヨークを守らなくてはという使命を背負う。これらすべてを成り立たせていたのが、サム・ライミ版でありマーク・ウェブ版だった。リズは父親がああなってしまったので家族ごと引っ越していき、退場。ミシェルとピーターが、今後どうなるかといったところだろう。

本編開始直前の予告編でアウディとデルコンピューターのCMが入り、これは結構新鮮だった。そしてのカウントダウンから、既にスパイダーマン仕様になっていた。こういうのは、とても嬉しい。毎回カメオ出演するスタン・リーも、もちろん登場。そして、エンドロール途中の場面は今後のMCUへの布石だろうし、ラストのメッセージもそうこなくっちゃと思わせてくれる。

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