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ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)『GRRR! Live』

ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)『GRRR! Live』

ローリング・ストーンズ結成50周年ツアーより、2012年12月15日にニュージャージー州ニューアークで行われた公演が2023年にリリース。ワタシが所有しているのは、DVDプラスCD2枚組の豪華盤だ。以下は、DVDを中心に書く。

ベストアルバム『GRRR!』のジャケットでもあるゴリラのお面をつけたドラム部隊がアリーナ席を練り歩き、花道の外枠に収まって少しの間プレイ。すると、ステージからはストーンズの面々が登場して『Get Off Of My Cloud』でスタートだ。ストーンズのライヴはいつもオープニングが凝っているが、今回もすごい。

序盤は『The Last Time』『Paint It Black』と、バンドの出発点を振り返っているようだ。ステージは、バックドロップのスクリーンをべロマークの唇が囲み、花道が舌のように見えるという具合。チャーリー・ワッツ以外の3人は花道にまで繰り出すが、やはりミック・ジャガーの運動量が最も多い。会場はキャパシティ2万7000のアリーナで、映像として見ていても臨場感が伝わってくる。

50周年アニバーサリーということで、ゲストも豪華だ。『Gimme Shelter』ではレディ・ガガが、『I’m Going Down』(注)ではジョン・メイヤーとゲイリー・クラークJr.が登場。ガガは、2023年『Hackney Diamonds』のレコーディングやリリースパーティーにも参加していて、縁は浅くない。ジョンとゲイリーはストーンズのメンバーより背が高く、がっしりした体格だ。ギターの腕は、言わずもがなだ。

『Dead Flowers』では、バックの映像にボ・ディドリーやボブ・ディランなど、偉大な先人が映し出された。『Who Do You Love?』にはブラック・キーズのふたりが登場し、チャーリー・ワッツとのツインドラムに。そして、この時点の新曲『Doom And Gloom』ときて、若きアーティストとコラボする一方で現役感を出してくる。

キース・リチャーズのソロコーナーを経て、『Midnight Rambler』ではミック・テイラーが加わった。2014年に東京ドームで観たときはダブルミックの方に気が向いたが、この映像を観たときはテイラーとロン・ウッドが体を寄せ合ってギターを弾いているのが印象的だった。テイラー脱退後に加入したのがロニーで、本来ふたりは交わらないはずだった。もしかしてフェスなどで共演はしているかもしれないが、ストーンズのステージで共演しているのが感動的だ。

『Tumbling Dice』では、地元ニュージャージーの英雄ブルース・スプリングスティーンが登場。ストーンズよりはひと世代下のブルースだが、ひけを取っていない。アンコールは、恐らく地元の声楽隊によるコーラスをイントロにした『You Can’t Always Get What You Want』で始まり、オーラスは『Satisfaction』だった。

ボーナス映像として、同地公演の初日から5曲が追加されていた。『Tumbling Dice』と『Gimme Shelter』は、ゲストを含まないバンド本来の編成を示した。『Respectable』には、ジョン・メイヤーが加わっていた。

なぜ商品化されるのに10年もかかったのかは不明だが、映像を観て、音源を聴いてしまえば、そんなちっぽけな不満は吹き飛んでしまった。現在のストーンズは、結成50周年どころか62年を経過していて、そして今なお現役だ。

注:ドン・ニックスという人がオリジナル。ここでは、ミックはフレディ・キングのバージョンでと紹介していた。個人的には、ジェフ・ベック・グループの『Going Down』で聴いていた。

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