ジョジョシリーズのスピンオフも収録『死刑執行中脱獄進行中』
ジョジョシリーズ1本のように思われる荒木飛呂彦だが、短編集もいくつか出している。そのひとつ『死刑執行中脱獄進行中』は、表題作のほかいくつかの短編が収録されているのだが、ココにジョジョのスピンオフ作品が3編ある。
ひとつは、『岸辺露伴は動かない-エピソード16:懺悔室-』。第4部に登場する漫画家岸辺露伴を語り部としていて、しかも、時間軸的には第4部で岸辺が東方仗助と対決して入院した後、漫画休載中に取材のためにイタリアに旅行に行ったときの出来事と読み取れる。岸辺が懺悔室を調べているところに懺悔をする人がやってきて、岸辺は自分が神父ではないと名乗らずに聞いてしまうというものだ。
あと2つは、『デッドマンQ』。なんと主人公が吉良良影だが、ただし幽霊。スタンド能力と生前の自分の記憶がなく、尼僧の依頼により殺し屋をやっていた。ちょっとしたヒーロー然たる役どころで、かつクラシック音楽へのこだわりを見せるなど、第4部のときと同様独特の性癖がある。しかし、荒木飛呂彦はもっかの最新作である第8部の『ジョジョリオン』にも吉良を登場させていて、よほど吉良が気に入っていると見える。
さて表題作だが、死刑囚の男がホテルの一室のような牢獄に通されるが、何かに触れようとすると蜂にさされたり指を切断されたりし、つまりこの牢獄が既に死刑執行の場になっているという具合。ジョジョの世界観に近いものがあり、興味深い。
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