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ボブ・ディラン(Bob Dylan)『No Direction Home』

ボブ・ディラン(Bob Dylan)『No Direction Home』

のドキュメンタリー映像『ノー・ディレクション・ホーム』を観た。DVD2枚組で、1枚目は本編の第一部、2枚目は第二部と特典映像となっている。

まず本編だが、第一部は幼少の頃から始まり、ジシャンを志してニューヨークに進出し、フォークのとして上り詰めニューポート・フォーク・フェスティバルに出演するまで。第二部は、フォークから脱しギターもエレクトリックに持ち替えての活動を描いている。

映像を構成するのは、ディラン本人を始めとする関係者のコメントと、貴重な未発表映像の数々だ。ディランが自らファーストアルバムの内容に後悔していると語り(自作曲を入れられたのに、カヴァーばかりにしてしまったこと)、マネージャーはレコード会社に断られまくってなかなか契約にこぎつけられなかったと語った。セカンド『The Freewheelin'』でディランと一緒にジャケットに映っている当時の恋人、スージー・ロトロが出てきたのにもびっくり。

第二部になると、フォークの同胞であり一時期は恋人関係にもあったジョーン・バエズの登場が格段に増えた。そうした中で個人的に興味深かったのは、アル・クーパーのコメントだ。当初レコーディングにはギタリストとして参加予定だったが、既にマイク・ブルームフィールドがいた。技術的にマイクには及ばなかったので一時は引っこんでいたが、オルガン奏者が必要になり、それまでオルガンを弾いたこともなかったのにプロデューサーに直訴して参加。そうして出来上がったのが、『Like A Rolling Stone』だった。

映画『ファクトリー・ガール』では、ディランがのカメラテストを受けるシーンがあるのだが、本作では実際のシーンがあった(静止画像中心だったけど)。第二部になるとライヴのシーンが格段に増え、後のザ・バンドとなるホークスのメンバーを従えてのステージは、豪華以外の何物でもない。そして、クライマックスはあのロイヤルアルバートホールの映像だ。観客の野次に「You're liar」と軽く受け流し、そして「Play it fuckin' loud」とバンドに確認した後に『Like A Rolling Stone』を演奏し始める。観ていてゾクゾクしてしまう。

特典映像は、劇中の演奏シーンの完奏を集約したもの、またジョーン・バエズらの演奏などが40数分に渡っている。一方の本編は3時間半の長尺だが、観ていて飽きることはなかった。監督はとのコンビで有名なだが、映画ウッドストックでは助監督を務め、ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』を監督。最近では、の『シャイン・ア・ライト』を監督していて、ロック映像にも憧憬の深い人である。

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