ジェフ・ベック(Jeff Beck)『Performing This Week: Live at Ronnie Scott’s Jazz』
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Jeff Beck ジェフ・ベック, ジミー・ペイジ, レッド・ツェッペリン
2007年にロンドンのライヴハウス「ロニー・スコッツ」で行われたライヴが、CDとDVDでそれぞれ2010年に発売されていた。ところが去年、CD2枚組+DVD2枚組という追加音源・追加映像を満載した盤として再発された。なんでこういうことをするかと思いつつ、それでもやはり買わないわけにはいかなかった。
CDは、まるまるカットされていたゲストアーティストとの共演12曲をボーナスディスクとして付与。DVDは、ビッグタウン・プレイボーイズと共演した7曲が、ボーナスディスクとして追加されている。このときジェフはロニー・スコッツで5回公演を行っていて、その全貌により近づいたと言える。
『Beck’s Bolero』でスタート。フロアは客が着席して食事しながらライヴを観る形式のようだが、ステージとの距離が近い。このときのバンドは、ドラムにビリー・カリウタ、ベースにタル・ウィルケンフェンド、そしてジェフ。この布陣では、2009年に来日している。ビリーのドラムは結構ラウド、若いタルはプレイは溶け込み、そしてビジュアルはいい意味で浮いている。
セットリストは、この時点でのベストと思う。中でもとりわけすごいのは『Scatterbrain』で、布袋寅泰をしてどうやって弾いているのか音だけでは皆目わからないと言わしめた超絶プレイが、映像として記録されているのだ。ここでは原曲以上にラウドで荒々しく、それはジェフが曲を進化させているのだと思う。
ゲストアーティストも多い。ジョシュ・ストーンとイモージェン・ヒープという、女性ヴォーカリスト。2人とも、2010年にリリースされる『Emotion & Commotion』にもゲスト参加している。そして、なんと言ってもエリック・クラプトンだ。ジェフの曲ではなくブルースナンバー2曲を共演し、エリックはヴォーカルも務めた。あと、客席にはジミー・ペイジもいた。この年の暮れ、レッド・ツェッペリンの再結成ライヴを成功させている。
ボーナス映像では、ジェフがロニー・スコッツの席に座ってインタビューに答えている。ふだんなら飲みにくるところで、ここで自分がライヴをするとは思わなかったとか、エリック・クラプトンに声をかけたときのエピソードなどを披露している。
今回の映像・音源追加でより明らかになるのが、ビッグタウン・プレイボーイズとの共演だ。5公演のうち1公演だけ、ジェフとの共演が実現している。ジェフはグレッチやギブソンエレアコなど、曲によってギターを使い分けていたのが印象的だった。ふだんのライヴでは、だいたいストラト1本だけでやりきってしまうからだ。リラックスして、自分も楽しんでいるように見えた。
ライヴアルバムは結構リリースしているが(特に21世紀になってからは)、ライヴ映像となると、この人の長いキャリアの中でなんとこれがはじめてだ(フェスやイベントなどでの映像はあるにはあるが)。99年の『Who Else!』以降、ジェフはそのキャリアにおいて何度目かのピークを迎えている。それが凝縮された音源と映像と言っていいかもしれない。
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