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ガントレット(1977年)

公開日: : 最終更新日:2020/09/22 クリント・イーストウッド

ガントレット(1977年)

アリゾナ州。フェニックス市警のショックリー刑事は、証人マリーを裁判所まで護送する任につく。簡単ですぐ済むと思われた任務のはずが、ショックリーはマリーと共に命を狙われる。実は、マリーはショックリーの上司であり今回の任務を与えたブレイクロックのスキャンダルを握っており、ブレイクロックは2人を消すつもりだった。

見どころはなんと言っても終盤クライマックスで、ショックリーとマリーが乗るバスに警官隊が乱射するシーン。一般人のいない市街地を、バスが裁判所に向けてゆっくり走るのは少し不気味で、それがやがて一斉射撃が始まりバスがハチの巣状態に(タイヤを狙わないのはなぜ?というツッコミはなしか)。この作品はかなり前にテレビで観ていて、このクライマックスシーンだけは記憶にあったが、なぜこのような状況になったのか、及び、この後どうなったのかというところに関しての記憶がなくて、観直したことでやっと明らかになった。

ショックリー刑事を、マリーをソンドラ・ロックが、それぞれ演じている。イーストウッドで刑事というと、なんと言っても思い出されるのが「ダーティハリー」だが、ここでは、これまでさしたる成果も挙げてこなかったさえない刑事が奮起するという役柄になっている。マリーは売春婦ながら、ただ女を売っているだけでなく、知的で頭の回転がいいところを見せている。

ソンドラ・ロックという人、知らないはずなのにどこかで観ていると思ったら、1984年作品の「ダーティハリー4」で妹を殺された復讐を果たす犯人役で出演し、イーストウッドと共演している。更に調べてみると、なんとプライベートでもイーストウッドの愛人だったそうだ。

タイトルの「ガントレット」は軍隊や西部開拓時代での刑罰の意だそうで、道の両側に人が立ち、罪人がその間を通り抜け、両側の人が罪人を殴るやり方、とのこと。これは、まんまバスの銃撃シーンに当たるのだが、ショックリーとマリーを祝福するライスシャワーだと解釈する向きもある。確かに、ショックリーとマリーは命を狙われそれを切り抜けていくことでお互いを認め合うのだが、上述のイーストウッドとロックとの関係を知っていると、こういう解釈もありと思わされる。

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