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ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ(Noel Gallagher’s High Flying Birds)@フジロック’15

公開日: : 最終更新日:2020/06/13 Fuji Rock Festival'15

最初に書いてしまうと、期待されていたの飛び入りはなかった。残念。だがしかし、ライヴはまさに横綱相撲で、最終日のヘッドライナーにふさわしいものだった。

定刻になり、メンバー登場。ドラム、キーボード、ベース(確か元ズートンズの人)、ギターに加え、トランペットなどの管楽器隊3~4人という、結構な大所帯だ。中央に陣取るのがもちろんノエルで、細身で小柄な体型にもかかわらず、堂々たるたたずまいだ。

『Everybody's On The Run』でスタート。バックドロップのスクリーンには、宇宙から見た地球にはじまり、徐々に接近していって海中の水しぶきにまで寄るという、壮大な映像が流れる。ノエルはどっしりと構え、ギターを弾きながら切々と歌っている。

時代はもちろん第一にギタリストだったが、ソロになり、シンガーソングライターへとシフトしているのが伺える。2枚目のアルバムをリリースしそれが成功していることが、後押ししていると思う。・コンプレックスから抜け出し、吹っ切れたようなたたずまいが、ソロの各曲を説得力あるものにしているのだ。

そして、ダメ押しになるのがオアシスナンバーだ。ライアン・アダムスに捧げると言ってはじめた、『Champagne Supernova』。中盤では、もともとノエルがヴォーカルの曲『Talk Tonight』に加え、日本のファンへと『Whatever』。そりゃ、盛り上がって当然だ。

オアシスナンバーのとき、ノエルはセミアコに持ち換えて歌っていた。リアムがヴォーカルの曲はアレンジを変え、特に『Fade Away』など原曲の疾走感と真逆のミディアムナンバーに仕上がっていた。ギターソロも、自らは弾かずバンドのギタリストに任せていた(この人責任重大だ)。そのまんまではやらないという、ノエルのこだわりが伺える。

MCは少な目で、またグリーンステージではこの人はあまりMCしなくてもいいと思うのだが、終盤には「デイヴ・グロールって誰?」みたいなことを言っていた。おとといのフーファイのとき、デイヴは「ノエルに、デイヴ・セイ・ハーイと言っておけ」みたいなことを言っていて、それがノエルの耳にも入っていたのだろう。

ラストはもちろん『Don't Look Back In Anger』。オーディエンスもこのときを待っていたとばかりに、サビを大合唱。これまでほぼ自分では弾かなかったギターソロも、さすがにこの局面では弾いていた。終了後バンドがステージを引き上げた後、しばらくの間SEが響いていた。

セットリスト
Everybody's On The Run
Lock All The Doors
In The Heat Of The Moment
Fade Away
Riverman
The Death Of You And Me
You Know We Can't Go Back
Champagne Supernova
Dream On
Talk Tonight
Whatever
The Mexican
If I Had A Gun…
Digsy's Dinner
Half The World Away
The Masterplan
AKA… What a Life!
Don't Look Back In Anger

去年はポーグスをクロージングアクトに据えていたが、今年はなし。それは、ノエルを最終日ヘッドライナーとした時点で、『Don't Look Back In Anger』を今年のの締め括りにすると、主催者は決めたのだと思う。

ノエルがフェスのヘッドライナーを飾ったり、武道館やO2アリーナでライヴをしたりすることに、ワタシは疑問を抱いていた。オアシスならまだしも、ノエルひとりでそこまでの人に、ほんとうになっているのだろうかと。

しかし、この日観たノエルは、数万人をねじふせる小男、のようだった。ノエルはこの領域に到達しつつあるのかと、正直言って驚いた。ワタシは、認識を改めなくてはならなかったのだ。

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