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ジェフ・バックリィ(Jeff Buckley)『Hallelujah』がフィギュアで使われていた

ジェフ・バックリィ(Jeff Buckley)『Grace』

平昌オリンピックが昨日で閉幕。日本勢の躍進が目覚ましい一方、選手にとっては過酷な環境になった競技もあった様子だ。さて、フィギュアスケートでは選手が曲に合わせて滑るのだが、クラシックやオペラの曲が定番かと思いきや、といったロックの曲を使用する選手もいたのに驚かされる。そういや、昨シーズンは羽生結弦くんが『Let's Go Crazy』を使っていたっけ。

個人戦に先立っておこなわれた団体戦において、カナダのパトリック・チャンが、なんとジェフ・バックリィバージョンの『Hallelujah』を使っていたと聞き、慌ててネットで探して観た。今回のオリンピック仕様というわけでもなく、自身のレパートリーの1曲として取り入れているようだ。

『Hallelujah』は、オリジナルはレナード・コーエンだ。コーエンは詩人でありシンガーソングライターであり、2016年に82歳で亡くなるまで多くのアーティストに影響を与え続けていた。この曲はこの人の代表曲のひとつで、多くのアーティストにカヴァーされている。のボノ、ジョン・ケイル、K・D・ラングなど。しかし、ジェフ・バックリィのカヴァーこそが最も素晴らしいとされている。

その要因は、大きくふたつあると考える。まずひとつはジェフの声だ。男性にしては高めのキーで、シャープで美しい歌声だ(当時は「奇跡の声」「天使の声」とも形容されていた)。そしてもうひとつは、この若き才能が突如失われてしまい、それを知っていて聴くと、奇跡の声が儚さと切なさを帯びて聴こえてくるからだ。

ジェフは、94年にファーストアルバム『Grace』をリリース。そして97年、川で泳いでいるときに溺死してしまう。まだ30歳の若さだった。死後、編集盤やライヴアルバムがいくつかリリースされているが、生前に遺したアルバムは上記の通り1枚。そして『Grace』には、『Hallelujah』も収録されている。

個人的に、ライヴに行く回数がかなり増えた時期があった。それは、92年のと、95年のジェフ・バックリィの来日公演を逃したことを激しく後悔していたからだった。の来日は世代的にどうしようもなく、プリンスやの初来日公演は物理的に首都圏にいなかったので、雑誌を見て悔しい思いをしていた。しかし、これらはまだ諦めがつくケースだ。

ニルヴァーナとジェフ・バックリィに関しては、自分が東京に住むようになり、ライヴに行く習慣がついてからの来日だった。しかも来日に気づかなかったのではなく、またすぐ来てくれるだろうと思い敢えてスルーしていた。しかし、アーティストによっては「また」がない場合もあるのだと、この2組を通じて思い知ったのだ。

ジェフ・バックリィが亡くなって20年が経ったが、今もこの人の歌声がどこかで流れ、聴かれ続けているというのは不思議な気になるが、それ以上に嬉しい。増してや、世界が注目するオリンピックとは。

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