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ジュピター(ネタバレあり)

ジュピター

家政婦として働く女性ジュピターは、望遠鏡を買うお金を工面するために卵子を提供しようとする。そこで何者かに殺されそうになるが、屈強な戦士ケインに助けられ、しかも彼に「陛下」と呼ばれる。

ジュピターとケインは再び襲われ、遠い惑星の宮殿へと連れ去られる。高度な文明を持つ王朝の女王が亡くなり、息子たち(兄・姉・弟)による跡目争いがされる。ジュピターは遺伝子的に女王の生まれ変わりとのことで、地球を統治する権利を持っていることに。

王朝は「栽培」のため地球を生かし、そして「収穫」する時期に来た今、息子たちはジュピターを引き入れてその権利を得ようとする。王朝の人々は数万年を生き、それを可能にするのが、100人分の命から採取できるエキスだった。

SF大作、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟監督と、前振りはすごかった。しかし。うーん。ストーリーが凡庸で、なぜ跡目争いか、なぜジュピターが突然ピックアップされたのかというところに、「説得力」を感じることができなかった。

説明も不足していて、スクリーンを観ただけで人物の相関関係を理解するのも困難だった。跡目争いもそうだが、軍隊の位置付けがどこにあるのかがよくわからなかった。CGのクォリティはすごいはすごいが、個人的には見慣れた範囲内だったかな。

ケインを、ジュピターをミラ・クニス。チャニング・テイタムは、鍛え上げた肉体は相変わらず素晴らしいが、茶髪も髭も似合ってなかった。ミラ・クニスは、ワタシが観た中では『オズ はじまりの戦い』の悪い妹の王女役くらい。

俳優で光っていたのが、ラスボスの兄バレムを演じた。先頃『博士と彼女のセオリー』でホーキング博士を演じてアカデミー最優秀主演男優賞を獲ったばかりだが、ここでは、序盤は狂気を内に秘めたような妖しさを漂わせ、クライマックスではその狂気を前面に出して鬼気迫る怪演をしている。

いや、もうひとり怪演した人がいる。ジュピターが陛下として認定を受けるために窓口という窓口をたらいまわしにされるのだが、最後に認定した人を演じていたのが、なんとだった。ここまでのお役所手続きを皮肉った描写は、『未来世紀ブラジル』へのオマージュだったのだ。

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