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エルヴィス・コステロ(Elvis Costello & Steve Nieve)@すみだトリフォニーホール

公開日: : 最終更新日:2024/04/09 Elvis Costello , ,

https://www.elviscostello.info/wiki/index.php?title=Concert_2024-04-08_Tokyo

来日公演は2016年以来だが、個人的には2013年12月以来ののライヴになる。今回はバンドではなく、スティーヴ・ナイーヴとのふたりによる公演だ。

予定を3分ほど過ぎたところでBGMのヴォリュームが上がり、客電が落ちる。向かって左の袖から、コステロとスティーヴ登場。コステロはジャズマスターを弾きながら『When I Was Cruel No.2』を歌い始める。スティーヴはピアニカを吹きながらステージを降り、向かって左前方の通路半分くらいまで足を進めると、またステージに戻っていった。

ステージは、向かって左にスティーヴのピアノとキーボードが配置。コステロ用のマイクスタンドは、ビアノのそば、センターマイク、向かって右の椅子前と3本あり、センターには星のような装飾がされていた。ギターは、セミアコを中心に5本くらい用意されていたと思う。

スティーヴは革ジャン姿、コステロは薄いシャドーのサングラスにネイビー(だと思う)のスーツに水玉模様の入った赤のシャツ、そしてシャツにおそろいのマフラーを巻いていた。ふたりともハットを被っていて、ピアノやテーブルにもハットが置かれていた。

ライヴはアコースティックを主体とし、コステロは1曲ずつ丹念に、そして曲によってはエモーショナルに歌い上げる。序盤は声が少しがさついていたが、続けていくうちに持ち直していった。

コステロは、ギターを持たずスティーヴのピアノに乗せて歌うとき、センターマイクを両手で持って少し傾けて歌っていた。スタンドマイクをそのように使いこなす人を観た記憶がなく、コステロにおいてもはじめて観たような気がする。

スティーヴのプレイには、驚かっされぱなしだった。1曲の中でもピアノとキーボードを使い分け、同時に弾くこともあり、更にビアニカにシフトすることもあった。ふたりのペアでのライヴを観るのは、'98以来実に26年ぶりだが、野外会場以上に今回のようなホール会場の方が映えてくると思う。

小ネタもちょくちょく入れてきていて、スティーヴがアバの『Dancing Queen』のサビを弾いたり、コステロがスペシャルズ『Ghost Town』を弾いたりしていた(ほかにもあったのかも)。

個人的には、『Accidents Will Happen』『Almost Blue』『Clubland』『Red Shoes』など、初期の曲を結構演ってくれたことが驚きで、そして嬉しかった。アニマルズの『Don't Let Me Be Misunderstood』のイントロが鳴ったときは、場内が一弾と沸いた。

中盤はスティーヴが捌けて、コステロひとりだけのセットになった。また、MCもそこそこ豊富で、明日は違う曲もやるよとか、アラン・トゥーサンのこともちらっと言っていたと思う。

スティーヴが衣装替えして生還し、それまで以上にエモーショナルなモードになる。『Watching The Detectives』は長尺になり、恐らく日本では最も知られているであろう『She』は、しっとりした曲調であるにもかかわらず、情感が込められた重厚な曲として歌い上げていた。

『(What's So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding』は、アコースティックバージョンにしてアッパーで、ここまで着席していたオーディエンスも立ち上がって拍手を贈った。ふたりでステージ中央に並んで挨拶し、いったんは袖に引き上げかけるも、踵を返すコステロ。ラストは『Alison』で、なんと2コーラス目はスティーヴがリードヴォーカルをとった。コステロはディストーションを効かせまくったギターを弾きつつ、最後は消え入るように静かに歌って締めくくった。

セットリスト
01. When I Was Cruel No.2
02. Watch Your Step
03. Jack Of All Parades
04. Like Licorice On Your Tongue
05. Accidents Will Happen
06. Clubland
07. Don't Let Me Be Misunderstood
08. Ascension Day
09. Beyond Belief
10. Hey Clockface
11. Shot With His Own Gun
12. Still Too Soon To Know
13. (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes
14. Hetty O'Hara Confidential
15. Almost Blue
16. Still
17. Watching The Detectives
18. I Still Have That Other Girl
19. She
20. Everybody's Crying Mercy
21. (What's So Funny ‘Bout) Peace, Love And Understanding
22. Alison

2018年には癌を公表し、治療のため活動を休止していたコステロ。その後無事に回復すると、以前と少しも変わらないペースでアルバムをリリースし、ツアーも精力的に敢行している。今年の8月で70歳になるが、この人のバイタリティとクリエイティビティは衰えることを知らない。

個人的には、94年に『Brutal Youth』ツアーの来日ではじめて観て以来、フジロックやも含めて今回が10回目のコステロのライヴになった。30年に渡ってこの人の音楽を聴き続け、ライヴを観続けてきたことの素晴らしさを、噛み締めている。

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