エルヴィス・コステロ(Elvis Costello & The Broadsky Quartet)『The Juliet Letters(DVD)』
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最終更新日:2024/04/02
Elvis Costello エルヴィス・コステロ
エルヴィス・コステロが、弦楽四重奏団ブロードスキー・カルテットと組んでアルバム『The Juliet Letters』を1993年にリリース。同名の映像作品もあり、観てみることに。
アルバムは全20曲だが、映像は14曲と少し少なめ。曲の収録順も、アルバムとは異なっている。ただその代わり、冒頭でコステロから解説があり、ほぼ1曲毎にコステロやカルテットのメンバーのコメントが挿入されていて、クラシックに馴染みの薄い身としては入りやすい。
「Juliet」はシェークスピア『ロミオとジュリエット』のジュリエットで、彼女に宛てて大学教授が手紙を書くというコンセプトで制作。なるほど、アルバムを聴いただけでは日本人でこの設定を理解するのは難しい。
ブロードスキー・カルテットは、バイオリン2、ヴィオラ、チェロという編成で、コステロを囲むように陣取っている。コステロは歌詞が書かれているであろう冊子を持ちながら歌っていた。ステージには何の装飾もなく、強いて挙げればライティングがさりげなく切り替わっているくらい。
それだけに、観る側としては純粋に音の方に集中できる。カルテットの演奏は特に力んでいるわけでもなく、音に乗せるコステロの声も最早楽器の一部としてのみ機能していると思える。この世界観に抵抗感がない人にとっては、素晴らしい空間になっている。
コステロの表現行為は、ロックだけにとどまらない。カントリーに寄った『Almost Blue』にはじまり、ジャズやオペラ、スタンダードなど、その世界観を広げている。中でも本作はかなり特異で、ほかのアーティストはちょっとやそっとでは踏み込めない領域と思う。
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