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デヴィッド・ボウイ(David Bowie)『Devine Symmetry』

公開日: : 最終更新日:2023/06/11 CD ,

David Bowie『Devine Symmetry』

がアルバム『Hunky Dorey』をリリースした、1971年。アルバムにリンクさせた、この年の活動ぶりを蔵出ししたボックス『Devine Symmetry』が、昨年暮れにリリースされた。CD4枚プラスブルーレイオーディオ1枚という、豪華なヴォリュームだ。

まずCDの方だが、ディスク1は1970年後半から1971年前半にかけて録音されたデモ音源集。スタジオだけでなくホテルの部屋での録音もあり、曲ができあがっていく過程が生々しく記録されている。『Kooks』は、前年に結婚したアンジーとの間に生まれた息子ゾウイに捧げた曲。『Shadowman』『Looking For A Friend』は、『Ziggy Stardust』のアウトテイクになったとのこと。『Waiting For The Man』はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァーで、当初からライヴのレパートリーにしていたそうだ。

ディスク2は、後にスパイダーズ・フロム・マーズとなるミック・ロンソンらと共に臨んだスタジオライヴで、彼らは『Hunky Dorey』のレコーディングにも参加。『Andy Warhol』は、女優でシンガーのダナ・ギレスピーのために書かれた曲とのことだが、ここでは彼女がリードヴォーカルの音源がある。後に、彼女のアルバムにも収録されたそうだ。

ディスク3は、1971年9月のライヴ音源になり、『Hunky Dorey』のレコーディング終了からリリース前というタイミングになる。ボウイとミック・ロンソンのアコースティックという、シンプルな編成でのライヴだ。ディスク4は、1971年のプロモーション音源と、プロデューサーのケン・スコットによる2021年オルタナティブミックスになる。

ブルーレイオーディオは、『Hunky Dorey』の2015年ミックスと、ボックスのタイトルでもある『Devine Symmetry』と題された2種類が収録。前者は既存の音源をブラッシュアップしてよりクリアに仕上げた印象。後者は、ディスク4に収録された1プロモ音源と2021年オルタナティブミックスを組み合わせて、アルバム1枚分にまとめている。そのほかは、『Life On Mars』の2016年ミックス、ディスク3後半のスタジオライヴの音源が収録されている。

ブックレットには、ファラオのいでたちのボウイをはじめ、ボウイのフォトが多数掲載。ほとんどが長髪姿だ。シングル『Changes』の、日本盤ジャケットも掲載されている。当時のボウイがアイディアを書き留めていたスケッチブックの再現は、ボックスならではの同梱だ。テキストは、当時のメディア報道やケン・スコットをはじめとする関係者のコメントになり、邦訳は読みごたえがある。

次作『Ziggy Stardust』のレコーディングの大半は1971年11月にされているが、本ボックスには収録曲そのものの直接的な音源はなく、意図的にはずされていると思われる(ディスク2に『It Ain't Not Easy』のライヴテイクが収録されている)。しかし、後にスパイダーズ・フロム・マーズとなる面々がこのとき既に参加していることから、『Ziggy』の下地はできあがっていたと思われる。

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