ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(結構ネタバレ)
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最終更新日:2025/06/07
ミッション:インポッシブル サイモン・ペグ, トム・クルーズ, ヘイリー・アトウェル
鍵をイーサン・ハントに奪われたガブリエルはAI「エンティティ」に見限られていて、ソースコードを使ってAIを支配することを目論む。ルーサーが作ったデジタル毒薬を奪い、かつルーサーを死に至らしめる。毒薬と取引するために、イーサンには鍵を使ってソースコードを奪取するよう仕向ける。
イーサンはアメリカ大統領の承諾を取り付け、空母などを使ってアラスカのセントマシュー島に向かう。海底に沈む潜水艦の中に、ソースコードが記録されたディスクがあるからだ。一方AI「エンティティ」は、核保有国の制御装置を次々にハッキング。すべてを掌握し核戦争を引き起こすまでのリミットは、4日間だった。
シリーズ8作目であり、前作『デッドレコニング』から直結する2部作でもある。そればかりか、過去の作品(特に1作目と3作目)も絡ませた集大成的な内容になっている。かつての上官キトリッジに加え、1作目でイーサンを裏切ったジムの息子ジャスパーも、前作に引き続き登場する。
そして極めつけは、1作目でイーサンが宙吊りになってリストを奪取したときにニアミスしていたCIA職員ダンローだ。このときの責任を取らされてセントマシュー島に左遷されたが、それを受け入れていた。イーサンやベンジーに潜水艦の座標を教えたのは、この人だった。イーサンが残したナイフをずっと持っていて、これも終盤で役立っている。1作目ではモブキャラだったが、今回重要な役どころとして復帰した。
作品を重ねる毎に加速するド派手なアクションだが、今回も凄まじい。中盤の潜水艦に向かうシーンは、イーサンがひとことふたこと発したくらいで、音数が少ない状態で進行。人間が深海にいられる時間は10分程度とされ、イーサンといえども身体への負担は避けられない。それらの要素が緊迫感を一層増幅させ、観る側としてもハラハラさせられる。
後半クライマックスは、一転して南アフリカ上空での複葉機による攻防だ。離陸寸前の機体の車輪に仰向けになってつかまり、離陸後にコックピットまでのぼってパイロットを引き剥がし、ガブリエルを追う。翼につかまったり、分解寸前になった機体からガブリエルの機体に乗り移り、と、やってることが人間ばなれしている。恐らく、何10回かあるいは100回以上撮影したのだろう。
長きに渡りチームの一員だったルーサーが序盤で死んでしまったのは、ショッキングだった(ルーサーは、イーサン以外では1作目から全てに登場し続けているただひとりのキャラクターだった)。しかし彼が作ったデジタル毒薬は、最後の最後に重要なアイテムとして効力を発揮する。彼が自分の運命を受け入れ、イーサンに託したことばは、とてつもなく重く、そして感動的だ。
キャストは、レギュラー陣はもちろん同じ人が続投。前作から加わったグレースのヘイリー・アトウェル、パリスのポム・クレメンティエフも続投。敵対、あるいは敵か味方かはっきりしない位置づけのキャラクターがやがてイーサンのチームになるのは、シリーズ恒例と言える。
イーサン役及びプロデューサーのトム・クルーズは、シリーズ開始時は33歳だったが、現在62歳。『ミッション:インポッシブル』は、もともとはテレビシリーズだったのをリメイクして始まった。それが、今ではこの人の代表作のひとつというイメージを揺るがないものにしている。
本作はシリーズ集大成であって、ひとつの区切りになった感はある。しかし、完結編ではない。数年後には、また続編が観られるかもしれない。
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