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日本ロック雑誌クロニクル

公開日: : 最終更新日:2025/05/27 書籍 ,

日本ロック雑誌クロニクル

日本の音楽雑誌の変遷を辿りながら、日本におけるロックの歴史を描いている『日本ロック雑誌クロニクル』という本を読んだ。著者は音楽評論家でもある大学教授で、この本はクイックジャパンに連載されていた記事に加筆してまとめられている。

取り扱っている雑誌は、『ミュージックライフ』『ニューミュージックマガジン』『フォークリポート』『ロッキングオン』『宝島』『ロックマガジン』といったところ。編集者の横顔や編集部の様子などを描き、また編集長へのインタビューも試みていて、当人に当時の状況を語らせている(渋谷陽一がインタビューを断ったのが残念)。各雑誌それぞれに輝きを放つと同時に限界点も露呈していて、現在も刊行中の雑誌もあれば、とうに休刊している雑誌もあり、『宝島』に至っては音楽誌からビジネス誌にがらっと編集方針を変えてしまっているそうだ。

個人的に面白かったのは、まずは『ミュージックライフ』の星加ルミ子のインタビュー。編集部は女性ばかりで、とにかく堅苦しいことは抜きで徹底してミーハーで行こうと開き直ったとのこと。イギリスにまで乗り込んで行って、当時取材困難と言われていたビートルズへのインタビューを実現させたという行動力には感心するし、エルヴィスとビートルズにしか興味がなくて、次の世代のアーティストが出てきたところであっさり編集長の座を明け渡したという、独特の感覚にも恐れ入る。もうひとつ面白かったのは、『ロックマガジン』の章だ。70年代後半に創刊し、徹底して新しいものだけを追求した雑誌で、デビュー前のトーキング・ヘッズを紹介するなど、先行する音楽誌には成しえなかった未知の領域を次々に開拓したとして、著者は絶賛している。

ワタシは高校生でロックを聴くようになったが、当時手にしたのは『ミュージックライフ』だった。分厚くて写真も豊富でヴォリューム感たっぷりの雑誌だったが、高校生が買い続けるにはちと値が張っていた。それで、より実用的なFM雑誌を継続して買うようになった。大学で上京し、実際にライヴに足を運ぶことが習慣づくようになったときに『ロッキングオン』『クロスビート』といった雑誌を読むようになった。現在は『ロッキングオン』を購読している。

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