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007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(少しネタバレ)

公開日: : 最終更新日:2021/10/17 007シリーズ , , , ,

 007 ノー・タイム・トゥ・ダイ(ネタバレ注意)

MI6を離れ、マドレーヌと共にイタリア南部に向かったジェームズ・ボンド。ヴェスパーの墓を訪れたボンドはスペクターの襲撃に遭い、まだ自身の秘密を明かしていないマドレーヌが情報を漏らしたと思い込み、別離を決意する。

5年後。ジャマイカでひとり暮らしていたボンドのところへ、元CIAエージェントのフェリックス・ライターが訪問。スペクターに誘拐されたロシア人細菌学者オブルチェフ救出を依頼され、キューバで新米エージェントのパロマと落ち合う。一方、MI6は現007のノーミを送り込んでいた。

ロンドンで投獄されているブロフェルドが主催したパーティーが行われ、ボンドは細菌兵器で殺されそうになる。しかし、死んでいくのはスペクターばかり。兵器はセットされたDNAを持つ人間だけを殺害する能力を持ち、オブルチェフがスペクター幹部のDNAにすり替えていた。

ボンドとパロマはオブルチェフ救出に成功するが、その直後にフェリックスと共に行動していたアメリカ政府のアッシュに強奪される。アッシュもオブルチェフも、テロ組織のメンバーだった。そして、スペクター殲滅をはじめ、一連を指示していたのはサフィンだった。

3度の延期を経て、ついに公開された『ノー・タイム・トゥ・ダイ(以下NTTD)』。007通算25作目、ダニエル・クレイグ版としては5作目になる。従来の007作品は基本的に一話完結型だが、クレイグ版はストーリーがつながっている。ヴェスパーは『カジノ・ロワイヤル』のボンドガールで、ボンドにとっては運命の女性だった。彼女を殺したのはミスター・ホワイトだが、前作『スペクター』でこの男は自分の娘マドレーヌを救うことを条件に組織の秘密を話す。ボンドはマドレーヌと共に暮らすことを決意し、スパイから身を引く。過去4作を観ていれば、こうした流れを楽しみながら本作に臨める。

本作はクレイグ版の完結編であるだけでなく、シリーズ集大成にもなっている。ボンドが静養していたジャマイカは第1作『ドクター・ノオ』の舞台、キューバは『ダイ・アナザー・デイ』の舞台のひとつだ。パロマは『黄金銃を持つ男』で助手を務めたメアリー・グッドナイトを思わせるが、はるかに役に立っている。出番が少なかったのが残念だ。

一方で新機軸もある。ボンド不在の間、007のエージェントになったのは、黒人女性のノーミだ。スペクターをサフィンが潰すという秘密組織同士の対立もあり、MI6とCIAも絡んだ四つ巴の抗争になっている。サフィンはミスター・ホワイトによって家族を殺され、その復讐でマドレーヌの母を殺害する。そして、マドレーヌには大きな貸しを作っていた。

新機軸にも集大成にも該当すると思うのが、マドレーヌの存在だ。ボンドガールが同じ役で続けて出演するのは、本作がはじめてだ。ボンドはいったんは彼女と別れるが、本気で愛した女性であることに変わりはなかった。『女王陛下の007』では、ボンドはマフィアの娘テレサと結婚するが、ラストで彼女はスペクターに殺害されてしまう。さて今回は・・・。

また余談だが、ちょいちょい日本文化が入っている。ボンドとマネーペニーがQの自宅を訪れたとき、Qは日本の酒屋さんがつけるかのような前掛けをつけていた。終盤でサフィンとボンドが対峙するとき、なぜか畳が敷かれていて2人とも正座する。

ダニエル・クレイグ以外のキャストは、マドレーヌのレア・セドゥ。Mのレイフ・ファインズ、Qのベン・ウィショー、マネーペニーのナオミ・ハリス、フェリックスのジェフリー・ライト、ブロフェルドのクリストフ・ヴァルツは、それぞれ過去作と同じ人が演じている。レア・セドゥは、スパイではなく医師という役柄もあってか、親しみやすいスカーレット・ヨハンソンという感じだった。

新キャラは、パロマにアナ・デ・アルマス。『ブレードランナー2049』のジョイ、『ナイブズ・アウト』のマルタと、近年力をつけてきている人だ。今回は、色気のある大人の女性を演じている。ノーミにラシャーナ・リンチという人。『キャプテン・マーベル』で、キャロルの友人役だった人だ。サフィンはラミ・マレックで、『ナイト ミュージアム』でも観ている人だが、『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役で大ブレイク。今回は、穏やかな口調で話しつつ殺人をこなすというサイコパスっぷりを演じている。

ビリー・アイリッシュが歌う主題歌『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、先行して曲だけ聴いたときは007シリーズの世界観に寄せすぎていると思った。がしかし、劇中でアバンタイトルを経てオープニングでこの曲が流れたとき、見事に作品に溶け込んでいると感じた。歌詞の字幕も出ていて、マドレーヌの心情を代弁しているかのような内容だった。

ダニエル・クレイグのボンド役は今回が最後と、言われ続けてきた。そして、それはほんとうにそうなってしまった。まだ公開が始まったばかりなので、ココにはっきり書くのは自粛する。が、納得できる幕引きになっていると思っている。

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