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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(ネタバレ極力なし)

ナイブズ・アウト

ニューヨーク。莫大な財産を保持していた、推理小説作家のハーラン。85歳の誕生パーティーの翌朝、書斎で亡くなっているのが発見される。警察は自殺と断定するが、そこへ何者かに依頼されたという探偵ブランが、ふらっと現れる。

ブランはハーラン他殺の線があると見ていて、親族に聞き込みをおこなう。親族の関心はハーランが遺した遺産の分配にあり、殺害する動機があったからだ。ブランは、ハーラン専属の看護師だったマルタを、助手として捜査を手伝わせる。

「アガサ・クリスティに捧ぐ」という宣伝文句があるが、この作品に原作はない。監督および脚本を務めたライアン・ジョンソンによるオリジナルだ。この人は「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」を監督し、その制作が終わった直後から本作に取り掛かったとのことだ。

序盤で犯人(と思われる)人物が観る側にわかってしまい、いくら何でも早すぎるんじゃと思ってしまった。しかしそれこそまさにライアンの策略で、終盤のブランによる種明かしでは、まず推論で犯人を特定し、その後もフェイクを咬ませて自証を導き出す。ミステリーの王道といえば王道で、ただ、いい意味ですっかりだまされてしまった。

キャストは、ブランにダニエル・クレイグ。傲慢でもなく、と言って低姿勢でもなく、一見際立つものがないが、終盤での追い込みは見事。この人にはジェームズ・ボンドのイメージがどうしてもつきまとうが、もし作品がシリーズ化されれば、この人の代表作のひとつになりうる役柄だ。

マルタは、アナ・デ・アルマス。観るのは「ブレードランナー2049」以来で、そこではライアン・ゴズリング演じるKを支えるAIジョイ役だった。もっと伸びてきていい人と思っていて、今回いい役柄をもらい、そして演じきった。今後の活躍が楽しみだ。

ハーランは、クリストファー・プラマー。個人的には「12モンキーズ」「Dr.パルナサスの鏡」などで観ている人で、序盤で死んでしまうにも関わらず、さすがの存在感を放っている。

親族はまるで「犬神家の一族」のように大人数にして複雑で、そしてクセ者ばかり。孫で問題児のランサムは、。「キャプテン・アメリカ」での清廉潔白なイメージとは真逆の汚れ役は、この人の演技の幅を広げたはずだ。

驚いたのは、ハーランの遺書を読み上げる弁護士がフランク・オズだったこと。「スター・ウォーズ」シリーズのヨーダの声の人で、直に演じているのを観たのは、たぶん今回がはじめてだ。

ラストシーンからエンドロールにかけて流れるのが、ローリング・ストーンズの『Sweet Virginia』。レディオヘッドの『Knives Out』じゃないのかよ、というツッコミはなしかな。

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