*

ミュー(Mew)@豊洲PIT THE FAREWELL SHOWS

公開日: : Mew

ミュー(Mew)@豊洲PIT THE FAREWELL SHOWS

定刻になろうかというところで客電が落ち、ベースのヨハン、ドラムのスィラス、サポートのギターとキーボードの4人が先にスタンバイし、『Reprise』のイントロを始める。やがてヨーナスが加わり、ライヴがスタート。全員黒のいでたち、ステージは両サイド後方に照明があり、バックドロップには映像が流されていた。

続く『Satellites』で、早くも場内の熱気は上昇。この来日がフェアウェルツアーであり、つまりもう次はないことを意味している。この日集まった「フレンジャー(ミューのファン)」たちの気合いの入りようも尋常ではない。メッセージ入りフラッグが用意されるなど、通常のライヴでは起こらないことが起こっているのだ。

ヨーナスの「ドウモアリガトウゴザイマス」という日本語MCを経て、『Special』『The Zookeepers Boy』の連発。そしてこの2曲は組曲風にもなっている。前者はシングル向けのコンパクトでポップな曲調、後者は大作風と真逆の2曲だが、ちょうど曲をつなぐ辺りで場内がざわついた。この後の展開を、わかっていて待ち受けているからだ。

3人のメンバーと2人のサポートというライヴの体制になってから、恐らく10年くらい経っているはずだ。サポートの2人もすっかりライヴ慣れしていて、ギターを弾きまくって目立つこともあれば、巨漢のキーボードは何度も手拍子で煽っていた。

ヨハンは遠目でも身体が引き締まっているように見え、細身ながらパワフルなプレイをしていた。ドラムのスィラスは、表情こそほとんど見えなかったが、重いビートを発し、バンドの屋台骨を担っていた。当然かもしれないが、ほか4人はこの人に合わせていたと思う。

そして、フロントマンのヨーナスだ。透明感のあるハイトーンヴォイスは相変わらずで、男性ヴォーカリストとしてはほとんど唯一無二と言っていいだろう。曲によっては自らギターを弾き、テレキャスターとジャズマスター風(フィンランドのメーカーらしい)の2本を使い分けていた。

新曲とヨーナスが紹介した『Gliding』は、ミディアム調の美メロナンバーだった。『She Came Home for Christmas』を経て、『156』のイントロをキーボードの人が鳴らすのだが、トラブル発生により結局スキップ。残念だが、そのモヤモヤを打ち消すように『Apocalypso』からの『Saviours Of Jazz Ballet』と攻め立てる。ヨーナスの声がこのバンドの核だが、時にメタルやプログレを彷彿とさせる演奏力の高さも素晴らしい。

本編を『Rows』で締めくくり、アンコールは『Introducing Palace Players』からスタート。ヨハンとヨーナスからのMCがあり、そしてついに伝家の宝刀こと『Am I Wry? No』だ!イントロでヨーナスが喜々としてギターを弾く姿がとても印象的だ。終盤の展開も好きだし、バンドの顔的な曲でありつつ結構複雑で色々な要素が詰まっていると思う。

ここでメンバー3人が袖に捌け、サポート2人だけで『Comforting Sounds』が。やがてヨーナスが加わってヴォーカルが始まり、中盤に差し掛かったところでヨハンとスィラスが加わりフルバンド編成に。終盤では、ヨーナスが「ah〜ah〜」というコーイングを入れてきた。これが終わるとライヴが終わってしまう、という寂しい気持ちがよぎる。しかし、それはまた避けられないことで、受け入れなければならないことでもあった。

セットリスト
1. Reprise
2. Satellites
3. Special
4. The Zookeepers Boy
5. Circuitry Of The Wolf
6. Chinaberry Tree
7. Then I Run
8. Gliding
9. Ay Ay Ay
10. She Came Home For Christmas
11. 156(機材トラブルによりスキップ)
12. Apocalypso
13. Saviours Of Jazz Ballet
14. She Spider
15. Rows
アンコール
16. Introducing Palace Players
17. I Should Have Been A Tsin-Tsi (For You)
18. Am I Wry? No
19. Comforting Sounds

『156』だけでなく、ほかにも聴きたい曲はあった。『Snow Brigade』も、『Symmetry』も、『Witness』も、そのほかまだまだたくさん、聴きたかった。欲深い願いではあるが、Mewはそれだけ素晴らしい音楽を作り続けてきたバンドだった。

気になったのは、ヨーナスとヨハンが「see you again」と言っていたことだ。単にまたいつか会おうねという意味合いで言っていただけかもしれないし、ひょっとしたら次の活動の青写真がもうできているのかもしれない。Mewの活動終了は彼らの音楽活動からの引退だと勝手に思い込んでいたが、もしかすると次の頼りは案外早く届くのかもしれない。

ただ、今の気持ちとしては、

Mewよ永遠なれ!

関連記事

Mew『NO MORE STORIES ARE TOLD TODAY I'M SORRY THEY WASHED AWAY NO MORE STORIES THE WORLD IS GREY I'M TIRED LET'S WASH AWAY』

ミュー(Mew)、5年ぶりの単独来日

Mewの来日公演が、明日からスタートする。ワタシは、その明日のSHIBUYA-AX公演に行く

記事を読む

ミュー(Mew)、サマソニ2015に出演

サマソニ出演が実に5回目になる、デンマークのギターバンドMew。出演はいずれもソニックステー

記事を読む

ミュー(Mew)『Live In Copenhagen(DVD)』

ミューが彼らの地元デンマークのコペンハーゲンで行ったライヴを収録した映像がある。DVDは廃盤

記事を読む

ミュー(Mew)@ザ・ガーデンホール Frengers 15th Anniversary Celebration Tour

ミュー(Mew)@ザ・ガーデンホール Frengers 15th Anniversary Celebration Tour

ミューが世界デビューを果たしたのが、2003年リリースのアルバム『Frengers』でのこと

記事を読む

看板に偽りあり:ミュー(Mew)インストアライヴ

フジロックの興奮も醒めあらぬ中、明日からはサマーソニックが。その出演アーティストでもあるジョ

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑