竹内まりや souvenir2025 mariya takeuchi live@Kアリーナ横浜
個人的に、竹内まりやのライヴを観るのは2010年と2014年の武道館に続き、3度目になる。過去2回は、いずれも2階席最上列の上の通路の「立ち見席」だった。今回は、実質2階席の5レベル、正面ブロックの前の方(Kアリーナは7レベルまである)で、椅子に座れる(笑)。
予定時間を10分ほど過ぎたところで、客電が落ちた。ステージからレーザー光線が飛び交う中、バンドメンバーが先にスタンバイし、最後に竹内まりや登場。オープニングはやはり『アンフィシアターの夜』で、 『家に帰ろう』『マージービートで唄わせて 』『Forever Friends 』と続く流れは鉄壁だ。新譜『Precious Days』からは、生田絵梨花が主演したドラムの主題歌『歌を贈ろう』を。生田には、MVにも参加してもらっているとのことだ。
Kアリーナは横長の構造で、ステージも横長。まりやの立ち位置には、チェッカーフラッグ柄の円形のデザインがされていた。両サイドにはスクリーンがあって彼女をはじめメンバーをアップで捉え、バックドロップには曲に合わせた映像が流れた。彼女にとっては初となる会場だが、キャパシティ2万人のKアリーナは、彼女名義の公演としてはひょっとすると最大規模なのかも、と想像する。
初期の曲を披露するコーナーも設けられていて、『五線紙』からの『リンダ』へ。後者はアン・ルイスに書いた曲で、ここではコーラス隊3人と山下達郎とで横並びになってアカペラバージョンで披露された。定番中の定番『元気を出して』も、もちろん歌われた。彼女は、人々に贈る応援歌のような想いを込めている的なことを言っていた気がするが、シンプルでありながら普遍的な歌になっていると思っている。
電話のコール音をイントロにして始まる『告白』は、ショートバージョンで歌ったことはあったが、今回はレコーディング以来フルコーラスで歌ったそうだ(マツコ・デラックスが最も好きな彼女の曲だと言っていたとのこと)。『カムフラージュ』は中山美穂が主演したドラマの主題歌で、ドラマの打ち上げで出演者と肩を組みながらカラオケで歌ったというエピソードを披露。そして昨年の中山美穂の死にも触れ、自分より若い人が亡くなったことを悲しみつつ、生かされていることの使命を感じていると語っていた。
彼女が誇るバンドメンバーは、いずれも凄腕だった。ドラム小笠原とベース伊藤広規のリズム隊に、彼女は全幅の信頼を置いていた。キーボードの柴田は、ハモンドオルガンで生楽器のような音も出していたと思う。もうひとりのキーボードの難波弘之は、主にピアノを担っていた。元スターダスト・レビューの三谷は、コーラスのほかキーボードも使っていた。サックスの宮里はソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4本すべてを使いこなし、タンバリンでリズムを刻んでいた。
11年前のツアーから交代したのは、ギターの鳥山雄司と、ハルナとENAの女性コーラスだと思う。ふたりのコーラスは、ソロ活動でも共演しているとのこと。 編曲やプロデュース業でもかなりの実績があるという鳥山は、ほぼ1曲ごとにギターを変え、キメのリフはだいたい担っていた。そしてバンマスの山下達郎は、テレキャスとセミアコを使い分け、キーボードやコーラスも担っていた。今年は、シュガーベイヴから数えてデビュー50周年を迎えたそうだ。
『プラスティック・ラブ』は、終盤で山下がリードヴォーカルをとり、歌い終えたところで場内から大きなどよめきと拍手が起こった。曲が終わると、まりやは「ぜんぶもっていく」「この人の後に歌うのは大変」と苦笑い。本編は、現在の彼女自身のテーマ曲ではないかと思う『人生の扉』から、恐らく人気ナンバーワンの『駅』で締めくくった。
アンコールは、まずは山下達郎とのデュエットで『All I Have To Do Is Dream』。そして、『September』『思議なピーチパイ』 という、初期のヒット曲を。バックの映像は、前者では当時の彼女が歌う映像、後者ではファミコンゲームのような映像が流れた。サイドのスクリーンは、まりやを追いつつ歌詞の字幕が表示された。ここまで客は着席でライヴを楽しんでいたが、さすがにアリーナや1レベルは総立ちになった。客電も点灯し、それはまりやが客の表情を目に焼き付けたかったからだ。
全員がステージ前に出て、横一列になって一礼。そしてバンドメンバーは袖に捌けていったが、まりやだけステージに残っていた。一瞬ステージが暗くなり、また明るくなると、まるでイリュージョンのように彼女はブルーのドレス姿になっていた。オーラスは、カラオケモードでの『いのちの歌』だった。
女性の年齢のことを言うのは、本来慎むべきことかもしれない。がしかし、今年3月の誕生日で70歳を迎えた竹内まりやに関して言えば、驚異的であり、誇るべきことであり、賞賛すべきことだと思う。本人も、まさかこの年になってツアーをしているとは思わなかったと言っていた。そして、最後にこうも言っていた。
またいつかお会いしましょう。
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