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フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ

フィリップ・K・ディックのエレクトリックドリームズ

ブレードランナー』『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』『アジャストメント』など、手がけた小説が多数映画化されているSF作家、。この人の短編をもとにした全10話からなるドラマが、イギリスのチャンネル4で放送された。日本では、Amazonプライムで観ることができる。

1. 真生活
2. 自動工場
3. 人間らしさ
4. クー・ダイヤモンド
5. フード・メーカー
6. 安全第一
7. 父さんに似たもの
8. ありえざる星
9. 地図にない町
10.よそ者を殺せ

各話はそれぞれ独立していて、ストーリー上の関連性はない。舞台は、近未来、数100年後の世界、全くの別世界、地球外、そしてほぼ現代など、多種多様だ。ただ、表題の通り「夢」がキーになっている気がして、それは仮想現実だったり、全く別の世界のことを指していたり、願望だったりするように思える。

映像のクオリティの高さは、劇場公開作品かと思えるくらいに素晴らしい。日本ではまだまだ映画とドラマではクオリティに格差があると感じているが、欧米ではきっとスタンダードになりつつあるのだろう。

その映像にせよ、ストーリーにせよ、文字だけの世界の小説をビジュアル化するとこうなるのかと、ほとんどの話でわくわくさせられる。と同時に、既に映像化されている作品にも通じる描写もあって、これは明らかに狙っているのだろう。全話冒頭の瞳のどアップや『フード・メーカー』での退廃感漂う街並みは、『』を彷彿とさせる。

全く知らない人たちが出演しているのかと思いきや、他の作品で観たことがある人もちょくちょくいた。『自動工場』に登場するロボットはシンガーのジャネール・モネイ、『ありえざる星』での宇宙ツアーガイドのひとりはベネディクト・ウォン(『ドクター・ストレンジ』のウォン)、『地図にない町』の主人公の駅員はティモシー・スポール(『ハリー・ポッター』のペティグリュー)、『よそ者を殺せ』の大統領候補の女性はヴェラ・ファーミガ(『ミッション:8ミニッツ』で主人公に指示を出す士官役)だった。

『真生活』のエンディングでの『Wonderwall』が流れるが、歌っているのはキャット・パワーだった。『安全第一』の冒頭では、の『Come Talk To Me』がちらっと流れていた。

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