*

ミッション:8ミニッツ(2011年)

公開日: : 最終更新日:2022/03/16 ダンカン・ジョーンズ ,

ミッション:8ミニッツ

シカゴで、乗客全員が死亡する列車爆破事件が発生。犯人捜索のため、軍が遂行する極秘ミッションとは、事件により死亡した列車の乗客の死の直前8分間の意識に入り込み、爆弾と犯人を発見することだった。選ばれたスティーブンス大尉は、8分後に必ず死を迎え、そのたび元の世界に引き戻される。何度も「死」を繰り返すうち、スティーブンスはこのミッションに疑問を抱き始める。

舞台こそ現代だが、世界観はもろにSFだ。何度も繰り返される8分間の世界において、その都度スティーブンスは異なる行動をとり、徐々に事件の核心に迫っていく。この世界は言わばバーチャルなもので、現実世界のスティーブンスは瀕死の状態であり、意識だけがプログラムに転用されている。バーチャルな世界の中での人々の行動は決められたものではなく、その世界の人の意志によってどのようにでもなるという「自由度」があって、『トータル・リコール』や『インセプション』などを思わせる。

監督は、『月に囚われた男』の ダンカン・ジョーンズ。なるほど、結構似ている部分がある。現実感のない出自にありながらもより現実的であろうとする、主人公。舞台の中心は、片や月面の 宇宙船、片や列車の車内で、言わば密室劇が中心。『月に囚われた男』は傑作で、個人的には去年観た映画のベストワンだった。本作も、とてもよくできてはいるのだが、そこまで『月に囚われた男』と類似していなくてもいいのになあとも思う。

ラストは、観終わった直後はどういうことなのか理解できなかったが、その後改めて考えを整理し理解できた(と思う)。バーチャルの世界が幾重にも連なっていて、パラレルワールドのようになっていると考えられるのだ。そして深読みすれば、このミッションを遂行する最初の現実世界でさえ、もしかしたらバーチャルな世界だったのかも。『未来世紀ブラジル』や『ブレードランナー』にも通ずるものがある。混乱もさせられるが、いちおうハッピーエンドで終わるので、清々しい気にもなる。

関連記事

月に囚われた男(2010年)

エネルギー源を採掘する仕事で月にひとりで赴任している男、サム。ひとりきりで、話し相手は月面基

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑