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ゴースト・イン・ザ・シェル(ネタバレあり)

ゴースト・イン・ザ・シェル

原作は士郎正宗によるマンガで、日本では数種類のアニメ版が存在している。今回はハリウッド実写映画だが、アニメを見続けてきた身としては違和感がなく、出来に満足している。

テロによって瀕死の重傷となった女性は、政府との関係も深いハンカ社によって脳とわずかな記憶だけを義体に移植され、サイボーグとして命をつなぐ。その1年後、彼女は公安9課に配属され「少佐」と呼ばれていて、荒巻課長のもと、バトーやトグサらと共に任務を遂行していた。

あるとき、某国政治家とハンカ社幹部との商談中に芸者ロボットが暴走し、少佐らは現場に乗り込んで鎮圧。しかし芸者ロボットは破壊される間際に「ハンカと組めば必ず消滅する」というメッセージを残す。その後の調査で、ハンカを狙い撃ちする一連のテロは、電脳ハッカー「クゼヒデオ」の仕業とわかる。

攻殻機動隊には何通りもの世界観があって、それぞれ共通するところもあれば独自性もある。今回の実写版も、当然ながら独自の設定をしている。主人公が日本人でなくなっている時点でそうだし、電脳化は一般化しているが義体化については世の中的に試作段階だ。舞台の国は日本とは劇中では明言されていない。無国籍風ということなのだと思う。

しかし、既に世に出ている攻殻へのオマージュがハンパなく、小ネタがあちこちにある。押井守版「Ghost In The Shell」へのリスペクトが顕著なのは、公開前からわかっていた。実際、絵的にはまんまのアングルが数多く見られるし、エンドロールで流れるテーマもそれだ。

実は、他の攻殻の要素も取り入れられている。バトーが犬を世話するくだりや芸者ロボットを解析する女博士は、「イノセンス」からの引用だ。クゼは「S.A.C. 2nd GIG」の重要キャラで、前半こそ大胆なアレンジに面食らったが、後半真実が見えてくるにつれて、2nd GIGのクゼとの共通点を見出すことができる。

キャストは、少佐にスカーレット・ヨハンソン。これまでも「アベンジャーズ」のブラック・ウィドゥ役などでアクションをこなしているが、今回はメインキャラクターとして、アクションだけでなく自身の出自を巡って苦悩する役どころを演じている。課長の荒巻はビートたけしで、「JM」以来約20年ぶりのハリウッド映画出演だ。しゃべるテンポが他の演者よりゆっくりなのがちょっと違和感があったが、存在感はあった。クゼはマイケル・ピットで、「ラストデイズ」でカート・コバーンをモデルにした主人公の青年を演じていた人だ。

結構賛否分かれている様子だが、個人的には支持している。日本発のマンガやアニメを出自とする作品が、ハリウッドで本格的に製作されたのはこれがはじめてと思うからだ。「ドラゴンボール」「北斗の拳」の実写版とは、当然ながら雲泥の差だ。少佐はミラ・キリアンという名前なのだが、クゼと関わり自身の過去を探るうち、自分の真の素性が明らかになり、原作やアニメにぐっと接近する。ああ、こういうふうにまとめてきたかと思ったものだ。

個人的に、劇場で観る洋画は字幕版にしている。字幕を目で追うのは別に負担でもないし、演者の声が結構重要だと思うからだ。吹替版には、本業の声優ではない、俳優や芸人などが起用されるのが嫌だからというのもある。がしかし、今回はじめて吹替版を選んだ。少佐、バトー、トグサの吹替が、アニメ版と同じ田中敦子、大塚明夫、山寺宏一と事前にわかっていたからだ。違和感を感じなかったのはもちろん、車中での少佐とバトーの会話など、まんまアニメ版を観ている感覚だった。そしてクゼの吹替も、アニメ版と同じ小山力也だった。この配役に、拍手を送りたい。

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