デペッシュ・モード『Depeche Mode : M』を劇場で観た
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Depeche Mode

デペッシュ・モードが2024年に行ったライヴが、CDやDVDでのリリースに先立って限定で劇場公開された。数週間おきに計3日で公開され、ワタシは最後のチャンスとなった26日に観に行ってきた。
アルバム『Memento Mori』に伴うツアーで、公演地はメキシコ。スタジアムで3回に渡って行われたライヴを編集し、なんと計21万人を動員したそうだ。映像はライヴの合間にドキュメンタリーが挿入される構成で、古代メキシコの伝説エピソードや会場に足を運んだファンの声、関係者のインタビューなどになっていた。
スーツ姿で登場したデイヴ・ガーンがフロント、向かって左にはマーティン・ゴアだ。後方センターのドラムとその隣のキーボードは、サポートメンバー。4人だけの演奏で、巨大野外スタジアムを迎え撃つ。最新作のタイトルといい、そもそもデペッシュ・モードにもMがあり、バックドロップの巨大スクリーンにもMの字が形作られていて、とにかく「M」が多い(笑)。
マーティン・ゴアは曲によりギターを弾き、サポートのキーボードの人はベースを弾く。ではあるが、生楽器の演奏の方に違和感があり、ツインキーボードでギターレスかつベースレスの方が、このバンドらしいと思える。ふたりとも、正面から見るとカタカナのニの字型に鍵盤をセッティングしていて、音だけでなくビジュアルも唯一無二と思う。デジタルロックやインダストリアルロックのオリジネイターでありつつ、現役度の高さが素晴らしい。
デイヴ・ガーンは頻繁にポジションを変えながら歌い、ステージ中央からアリーナに突き出した花道にも何度も足を進める。前半でジャケットを脱ぐとシャツにベスト姿になるが、いったん袖に捌けて戻ってくると素肌にベスト姿になっていた。カメラはステージ後方から客席に向けたアングルもあって、バンドにはこのように客が見えているというのを体感できた。
セットリストは、 新譜『Memento Mori』をベースにしつつキャリア横断型になっている。 30年40年前の曲が新譜の曲と並んでも違和感がなく、古くなっていない。アレンジはだいたい原曲通りだったが、『Personal Jesus』は終盤の演奏が拡大されていた。
メキシコはスペイン語圏であるにも関わらず、多くの曲で歓声が上がり合唱もされるという、 凄まじいライヴだった。悔しいが、もし日本に来てもとてもじゃないがこうはならない。それ以前に、今後の来日自体望みが薄い。調べたら、デペッシュが最後に来日したのは1990年で、実に35年日本に来ていない。ワタシも、生ライヴは観たことがない。まさに、日本と欧米とで格差が大きいアーティストの代表格だ。 ただ、単独来日は難しいとしても、フェスでなら可能性はないだろうか。フジロックに3度出演しているキュアーのように。
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