ビョーク(björk : cornucopia)を劇場で観た
ビョークがおこなった「コーニュコピア」というテーマのライヴが、期間限定で劇場公開。1月にダイジェスト版をApple TV+で観ていたものの、コレを逃してはならぬと思い、観に行ってきた。ワタシはこのツアーの来日公演にも足を運んでいて、その追体験として楽しんだ。
映像の公演は2023年9月にポルトガルのリスボンになり、ステージの生演奏に時折CGがコラージュされる編集がされていた。CGの多くは、ライヴ中にバックドロップに流されていたものと思われる。当然だが、大きなスクリーンで観るビョークのライヴは圧巻で、音質もクリアだった。
ステージには摩訶不思議なセットが組まれ、簾状の幕で覆われた中でスタート。幕にもビジュアルが描かれ、しかし隙間からはステージ内のパフォーマンスが見えるという具合。やがて幕は引かれてステージはオープンになるが、ライヴ中にも適宜閉じては映像が映し出された。
生ライヴは自分の視点で自由に観ることができるが、近かったり遠かったりという、座席位置による物理的な条件がどうしても伴ってしまう。対して収録した映像は、アーティストの表情や手元、楽器そのものなどをクローズアップしてくれるのが、とてもありがたい。
7人の女性フルート隊は、お揃いのいでたちのようでいて、よく見るとマスクも衣装も全員微妙に異なっている。ドラマーとキーボーディストを、正面や側面からだけでなく、後方からのアングルで捉えていたのも、アーティスト目線が味わえて新鮮だった。
ビョークは白基調のヴォリューム感のあるドレスをまとい、異形のマスクを被っている。彼女は常に立ち位置を変えていて、中央正面で歌うことは少なく、向かって右後方の壇や左前方で歌うことが多かった。フルート隊やハープ奏者に、視線を送りながら歌っていたのもあった。
中盤からは、白衣装のコーラス隊が加わった。来日公演では日本人だったが、ここではアイスランドから呼び寄せていた。人数的には女性が少し多く、数人はマスクをつけていた。ステージのアイディアはビョークが考えていると思われ、それを満たす面々がステージに立っていると思う。フルート隊も、アイスランド人とのことだ。
セットリストは、直近2枚のアルバム『Utopia』『Fossora』からを軸としていて、幻想的な世界観をスタジオレコーディングだけでなくライヴという肉体性が伴う場で再構築しようとし、それが成功しているのだから素晴らしい。そしてビョークの声質や声量は、デビューした頃からあまり変わっていない印象だ。これもまた、素晴らしい。
ライヴ終了後、ビョーク自らセレクトしたという、『atopos』『arisen my senses』『blissing me』のミュージックビデオがが流された。
劇場の体験はもちろんありがたいが、保存アイテムつまりDVDのリリースもしてくれると嬉しい。
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