ビリー・アイリッシュ（Billie Eilish）『Happier Than Ever Live at the O2 Extended Cut』

ビリー・アイリッシュが、2022年6月にロンドンのO2アリーナでおこなったライヴ映像を観た。日本では、2023年1月に1日だけ劇場公開されている。

『bury a friend』でスタート。この時点で、ビリーがリリースしているフルアルバムは2枚。おのずと、持ち歌ほぼ全曲を披露する格好になる。だだっ広いステージに、装飾はほとんどされていない。バンドは、ドラマーとキーボード＆ギターの兄フィニアスのふたりという、シンプルな編成だ。

ビリーはほとんどステージにいることはなく、花道で歌う。付近の客に手を振ったり、投げ入れられた花束を手にしたりと、自身も楽しんでいる様子が伺える。MCも豊富で、この公演にカメラ撮影が入っていることを「はじめてなの」と自ら明かしていた。

アルバムで聴く限り、ビリーの曲の多くは熱唱とは程遠く、ライヴ向けではないと思ってしまう。しかし、ライヴはもちろん成立している。それは、客の大半を占めるであろう若い女性たちがほぼ全曲を歌っているからだ。時にはビリーのヴォーカルがかき消されてしまうこともあり、彼女たちにとってビリーの存在の大きさはどれほどかと思ってしまう。

中盤はフィニアスと並んでのアコースティックコーナーがあり、その次はなんとアリーナ席後方のクレーンに乗って、ステージとは真反対のスタンド席を向いて歌う。花道に近い客だけが特等席ではなくなる瞬間だ。そして、バックステージをビリーはキックボードで移動していて、カメラがフォローしている。ラスト2曲は、『Bud Guy』『Happier Than Ever』と、この時点でのビリーを代表する2曲だった。納得。

この約2ヶ月後に、ビリーは東京1公演限りの来日公演を有明アリーナでおこなっている。ワタシは、同じ日にガーデンシアターで行われたシガー・ロスのライヴを観に行っていた。来日発表とチケット発売はシガー・ロスの方が早かったので、迷わずチケットを取った。しかし、その後のビリー来日の報で愕然。なんともしようがなかった。しかし、そのときからのモヤモヤは、もうすぐ晴らされる。