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ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)HIT ME HARD AND SOFT:THE TOUR@さいたまスーパーアリーナ

公開日: : 最終更新日:2025/08/19 Billie Eilish

ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)HIT ME HARD AND SOFT:THE TOUR@さいたまスーパーアリーナ

さいたま新都心駅を降りると、ビリーによる日本語も交えたアナウンスがされていると聞いていた。がしかし、ワタシが到着した頃には大勢の人が改札に集中していて、聞き取ることかわできなかった。

YOASOBIの後のセットチェンジを経て、定刻通りにステージが暗転。設置されていたケージがせり上がり、外面には映像が流れている。すると、一瞬だけ中が見え、ビリーがいることがわかる。そして、『Chihiro』でスタート。ビリーは、ケージの上に立ち上がって歌い始めた。この状況だけで、場内は既に異常な騒ぎに。

やがてビリーはステージに降り立つと、歌いながらステージを歩き回り、それだけでなく走り回っていた。360度型にしている意味を当然深く認識した上での動きだが、意外と言っては失礼だがかなり俊敏だ。ビリーはキャップを後ろに被り、カジュアルなストリートファッションに身を包んでいた。

前回のツアー、バックはドラマーと兄フィニアスというミニマムな編成だったが、まず、今回フィニアスの姿はない(自身のツアーをおこなっている)。ドラム、ベース、キーボードおよびギターがふたりという、がっつりバンドだ。『Wildflower』からは、ふたりの女性コーラスも加わった。彼らはステージのくぼみに収まり、客席からは上半身のみが見える格好だ。

ケージと分離した足場にビリーが乗ってせり上がったり、炎が噴射したり、レーザー光線が飛び交ったりと、仕掛けがすごい。上部にはスクエア型のスクリーンがあって、映像を流したりビリーをアップで捉えたりする。スピーカーですら、時にはライティングとして機能していた。

しかしそれ以上に、ビリーのアクティブさが生々しく伝わってくる。ステージに寝そべって歌ったり、右手にマイクを持って歌いつつ、左手にGoProを持って自分のアップや客席などを捉えたりする。ここがアリーナであることを、一瞬忘れてしまう。

ビリーが足を止めると、それだけで目の前にしているファンから大きな歓声が湧く。というか、曲間にただビリーが立っているだけでも、場内からは歓声が起こった。同世代くらいの女性たちにとって、ビリーの存在はどれほどまでに大きいのかと思わされる。

中盤にはアコースティックコーナーを設けていて、自らセミアコを弾きつつ切々と歌う。自分で曲を書いている彼女が、パフォーマーとして魅せるだけではなく、優れたソングライターでもあることを感じさせる瞬間だ。

チャーリーXCXの『Guess』では、スクリーンにはチャーリーが歌う映像が流れていた。この間ビリーの姿は見えなかったが、やがてステージとは別のところからざわざわとし出した。なんと、ビリーが200レベルの客席に姿を現して歌い出したのだ。

ビリーがいるところは、ワタシの席のほぼ真横だった。ち、近い。この瞬間だけ、アリーナスタンディングの人たちよりもビリーとの距離が近くなった。前回のツアーでは、クレーンを使って後方の客席に接近していたが、今回それっぽい仕掛けは見当たらなかったので、まさかこんなことが起こるとは思わなかった。

終盤、『L’amour de ma vie』のときにバンドメンバーを紹介し、最後は『Happier Than Ever』『Birds Of A Feather』と、ビリーの現在の代表曲2連発だ。初期は『Bad Guy』のイメージがあまりにも鮮烈だったが、今回は前半のハイライトを成す曲として機能していた。もちろん現在でも重要な曲であることに変わりはないが、このイメージを書き換えることに成功したのは、意義があったと思っている。

セットリスト
Chihiro
Lunch
NDA
Therefore I Am
Wildflower
When the Party’s Over
The Diner
Ilomilo
Bad Guy
My Future
The Greatest
Your Power
Skinny
TV
Bittersuite (tape transition)
Bury a Friend
Oxytocin
Guess (Charli XCX cover)
Everything I Wanted
Blue (tape segment)
Lovely / Idontwannabeyouanymore / Ocean Eyes
L’amour De Ma Vie (with Over Now extended edit)
What Was I Made For?
Happier Than Ever
Birds Of A Feather

個人的には、ドキュメンタリー『世界は少しぼやけている』での、苦悩しているイメージがずっと残っていた。当たり前だが、現在のビリーはとっくにその先に行っていて、新世代のアーティストかくあるべしという、堂々たるライヴだった。

前回2022年の来日時は、シガー・ロスの公演と被っていて、観るに観られなかった。今回は初ビリーにしてリベンジだったが、このタイミングで観ることができてよかったと思っている。気の早い話かもしれないが、次に来日するときは会場はドームになるだろうから。

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