『「(生)林檎博’24-景気の回復-」』を劇場で観た
椎名林檎が昨年秋におこなったツアーが、DVDとしてリリース。リンクするように、期間限定で劇場公開もされていた。ワタシはブルーレイを注文し発売日に入手していたが、このイベントには乗らなくてはならないと思い、先日劇場まで行ってきた。
収録したのは、2024年11月24日のさいたまスーパーアリーナ公演だと思われる。アーティストによっては複数の公演をミックスして映像作品化することもあるが、本作はおそらく単一公演だ。映像が始まると、既にバンドやオーケストラはスタンバイしている状態だった。
場内が暗転し、『鶏と蛇と豚』のイントロの中で5人のお坊さんが登場。人ではなく映像だと今ならわかるが、初見のときはもしかして人かもと思っていたところがいきなり宙に浮いたので、これだけで度肝を抜かれた。そして、『宇宙の記憶』で椎名林檎はステージ上部のアーチから登場。またもや、度肝を抜かれる。
実際にライヴを観に行っているとしても、座席の位置によっては見えるところと見えないところがある。映像作品は、アーティストやバンドメンバーの表情をアップで捉えたり、客側からでは観られないアングルから捉えたりしてくれるので、当然観る価値はある。
スイッチングがめまぐるしいのが少し気にはなったが、ステージを真横から捉えたり、上からオーケストラピットを捉えたり、奏者の演奏が細かくピックアップされたりしていたのがありがたかった。客席からでは、立って観たとしてもオーケストラの人たちの演奏はほとんど見えず、時折スクリーンに映るので観られるくらいだったからだ。
そもそも、オーケストラを組み込んだ編成でアリーナクラスで全国ツアーをおこなうアーティストは、椎名林檎くらいではないだろうか。しかも彼女の場合、今回がはじめてではなく実に4度目になる。限定と銘打ち、単発でおこなうアーティストはいるだろうけど。『望遠鏡の外の景色』は、バンドメンバーとオーケストラ全員を紹介するコーナーでもあって、個人的に好きなパートのひとつだ。
バンドのソロも、何度となくフィーチャーしていた。ドラム石若は正面に小型カメラが設置されていて、プレイの臨場感が伝わってきた。ベース鳥越は、先日「エイトジャム」のベース特集でも観たが、実はウッドベースにこだわりがある人で、ライヴでもウッドベースの方を多用していた。ギター名越は、侍のような風貌で数本のギターを使い分けるさまが、とてもカッコいい。プレイ自体のアクションは少ないが、発せられる音はだいたいノイジーだ。
東京事変メンバーでもあるキーボード伊澤は、さすがに歓声が大きい。複数段ある鍵盤を使い分け、ギターもこなす。林檎の最新シングルとしてリリースされた『芒に月』は、このツアーで既に演奏されていた。これが伊澤のバンドあっぱの『ジプシー』が原曲だと知ったのは、ツアーが終わってからだ。
2018年の林檎博では男性アーティストのゲストを動員していたが、今回は女性ゲストが多数。中嶋イッキュウ、DAOKO、もも(チャラン・ポ・ランタン)は、共演曲以外にも登場。ほかのアーティストは映像で林檎とデュエットしていたが、この収録日のみAIはホンモノが登場し林檎と共に歌っていた。
今回の林檎は、ギターを弾いたのは2曲程度だぅたと思う。その代わり、ビジュアルやダンスなどで魅せる方に力点比重置かれていた。双子のダンサーSISは、そんな彼女を盛り立てていた。運動量がかなり多かったが、キレが鈍ることは最後までなかった。身長があり、目鼻立ちがはっきりしていることから、海外進出もできそうな気がする(もうしてるかも)。
映像が終わると、この後90秒間撮影OKのメッセージが出て、急いでスマートフォンの電源を入れた。スクリーンには「景気回復祈願」のディスプレイが表示され、右下には「写真撮影OK」の注釈も。しっかりいただいた。
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