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モービウス(結構ネタバレあり)

モービウス

天才的な頭脳を持つ医師マイケル・モービウスは、人工血液を生み出して多くの人を救い、ノーベル賞を受賞するなどの栄誉を授かる。しかし、自身は幼少時から治療法のない血液の難病を患っていた。

マイケルは研究を続け、コウモリのDNA投与に行き着く。マウスでの実験成功を経て、自身の体にも投与。超人的な身体能力を得るが、能力のコントロールが難しいこと、人工血液では効力にリミットがあること、そして人間の血を求めてしまうこと、という代償があった。同じく難病を抱える親友のマイロもDNAを欲するが、マイケルは危険だとして拒否する。

コミックの映画化で、原作ではモービウスはのヴィランの位置づけになる。ただ、『ヴェノム』と同様、メインキャラに据えるからにはそれなりにクリーンな面を出す必要があって、マッドサイエンティストと倫理を守ろうとする姿勢の狭間で苦しむさまが見てとれる。しかし、マイロは結局コウモリのDNAを接種してヴァンパイアになってしまい、マイケルはマイロを抑えようとする。

マイケルを、ジャレッド・レト。ワタシがはじめて観たのは『ロード・オブ・ウォー』で、そのときは演じる主人公の引き立て役だった。しかし、その後『ブレードランナー2049』のウォレス博士、『スーサイド・スクワッド』のジョーカーなど怪演俳優になり、本作の知性と狂気が入り交じった役どころはぴったりだと思う。鍛え上げられた肉体には、50歳という年齢を感じさせない。

マイロはマット・スミスという人で、個人的には『ターミネーター:新起動/ジェニシス』で観たことがある。マイケルと同じく天才的な頭脳を持つが、死の恐怖に怯えていた。ヴァンパイアになってからはよくも悪くも心身共に解放され、狂気全開モードへと変貌してしまう。

マイケルの同僚で協力者の医師マルティーヌは、アドリア・アルホナという人。マイロにやられて致命傷を負ってしまい、無駄死ににさせないでとマイケルに懇願して自身の血を吸わせる。死んだかと思われたが、ラスト直前で蘇生。恐らく、マイケルと同類のヴァンパイアになったと思われる。

マイケルとマイロをサポートするニコルズは、ジャレッド・ハリス。『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』でジェームズ・モリアーティ教授役だった人。監督は、『デンジャラス・ラン』『チャイルド44 森に消えた子供たち』のダニエル・エスピノーザだ。

全米では酷評あるいはネタにされているという口コミを読んだが、個人的には楽しめた。マーベル発のヴァンパイアにしてダークヒーローで、『ヴェノム』のようなコミカルさがない分、こちらの方が好みだ。マイケルやマイロが一瞬だけモンスター化してまたすぐに元に戻るというCG技術は見事だし、ニューヨークの街並みを飛び交うさまは爽快だ。

FBIが捜査する中で「このひどさはサンフランシスコ以来」と言っていて、これは『ヴェノム』の件を指しているのかな。また、ラストでは『スパイダーマン ホームカミング』のヴィランだった、演じるヴァルチャーが登場。マルチバースを越えて来たと思われ、ポストクレジットではマイケルに接触している。どうやら、MCUとは別の流れでソニーピクチャーズでスパイダーマン版のユニバースが計画されているようだ。

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