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ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)『Ladies And Gentlemen』を武道館で観た

ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)『Ladies And Gentlemen』

ローリング・ストーンズの1972年のライヴを記録した映像作品、『Ladies And Gentlemen』。一般公開されずほとんどおクラ入り状態だったこの映像が、今年劇場公開とDVDリリースが決まった。それに先立つ形で今日日本武道館で上映会があり、3回上映のうちの2回目を観に行ってきた。

狭いステージに向かって右からビル・ワイマン、キース・リチャーズ、ミック・ジャガー、ミック・テイラーの4人が並び立ち、ミックの真後ろのドラムセットにチャーリー・ワッツが陣取っている。ミック・テイラーの更に向かって左にはボビー・キーズら管楽器隊、その奥にはピアノのニッキー・ホプキンス、というバンドの布陣である。

オープニングは、いきなりの『Brown Sugar』。そして、72年は『Exile On Main St.』がリリースされた年で、当然ながらそこからの曲が多い。今でもストーンズの中核を成す1曲の『Tumbling Dice』、キースとミック・テイラーが椅子に腰掛けてアコギを弾く『Sweet Virginia』、など。しかし、最も驚いたのは『Happy』。キースがリードヴォーカルの曲だが、なんとここではミックもヴォーカルとして参加しており、2人で1本のマイクで歌い、またミックだけが歌う場面もあって、現在のストーンズのライヴとはまるで様子が異なる。

この頃メンバーは20代後半から30代と思われ、みな若々しい。今では落ち着いた英国紳士の佇まいのチャーリーのドラムはパワフルで荒々しく、直立不動のビルのベースも野太い。キースはかなり男前で、ギターを弾く姿も凛々しい。ミック・テイラーはさすがにテクニシャンで、スライドを駆使したソロを披露。現在もストーンズを支えるボビーは体型がかなりスリムで、時にはミックに呼ばれてセンターにお目見えすることも。そうした中、ミックだけは今とあまり変わっていないように見え、パフォーマー及びバンドのスポークスマンの役を担っている。

カメラワークには、やや不満が残る。ミックだけを追いすぎていたり、客席の様子が終盤になるまでほぼわからなかったりもした。エンドロールでは、スペシャルサンクスのオノ・ヨーコやザ・フーの名前を確認。また、「ミステリーピアノ」という名目でイアン・スチュワートの名前もあった。ミステリーピアノって何だ?

料金2,500円はちと高いかなと思ったが、結論としては大満足。3D映画と同等の値段と思ってしまえば安いものだし、非売品のポスターもついている。何より、500インチの巨大スクリーンと大音響は、まるで本物のライヴを体感しているかのような迫力だった。なぜ武道館かというと、このツアーの一環としてストーンズは73年1月に来日するはずだったのだが、ミックのドラッグ経歴から来日許可が下りず、中止になったという背景があったからだ。そして個人的には、『Midnight Rambler』の辺りで7年半前に観た武道館公演のことを思い出した。

この映像、海外では『Stones In Exile』とのカップリングでブルーレイ版も発売されるそうである。ぜひ、日本盤も対応してほしい。

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