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フー・ファイターズ(Foo Fighters)@フジロック’23

フー・ファイターズ(Foo Fighters)@フジロック'23

個人的に、はじめてフーファイを観たのが95年12月のクラブチッタ公演。以降、フェスや単独でいろいろ観させてもらい、この日が11回目に(うち5回が)。そしてこの日のライヴは、今まで観てきた中で最も感動的だった。

『All My Love』『The Pretender』の出だし2曲が、デイヴ・グロールによるじらし戦法(笑)もあって長尺モードになり、これだけで既に満腹状態にさせられる。ステージ両サイドのスクリーンには、時折フロアのオーディエンスが映し出される。ぎっしり詰まった状態は2日目ヘッドライナーであることを物語り、アップになった人たちの表情がみな興奮と喜びに満ちているのが感じられる。

ステージ上、最もアップで抜かれるのはやはりデイヴだが、その次に多かったのが新ドラマーのジョシュ・フリーズだった。体格的にそこまで巨漢でもない人だが、パワー型のドラマーに思えた。真上からドラムセットを捉えるアングルは、とても新鮮だった。

デイヴがベリースペシャルゲストと言って、をステージに呼び寄せた。濃紺のTシャツ姿のアラニスはデイヴとハグし、フーファイメンバーをバックに1曲歌った。実は、願望レベルながら彼女の飛び入りは予想していた。両者には、テイラー・ホーキンスという共通項があったからだ。

ただ、両者が過去に共演したのを聞いたことがなかったので、ほんとうに実現するとは思わなかった(注)。そしてなにより、アラニス自身がこの状況を楽しんでいるように見えた。曲は聴いたことがあるようなないような、という感じだったが、後で調べてシニード・オコーナーの『Mandinka』だと知った。アラニスとフーファイが、同じ時代を生きた彼女を追悼したのだ。

『TIme Like These』は、中盤までデイヴの弾き語りで後にバンドモードにシフト。『Break Out』『My Hero』はサビの合唱、と、エンターテイナーとしての腕も抜群のデイヴ。メンバー紹介ではひとりずつソロを弾くが、ベースのネイト・メンデルのときはディーヴォ、ギターのパット・スメアのときはラモーンズと、余興のノリになる(笑)。

デイヴが7人目のメンバーだとシャレで言って呼び寄せたのは、ウィーザーのドラマー、パトリック・ウィルソン。この人はパット・スメアのギターを借りて演奏に加わり、曲は『Big Me』だった。ウィーザーも、フーファイとは同じ時期にシーンに登場したバンドだ。

『Monkey Wrench』を経て、デイヴがテイラー・ホーキンスが好きだったフーファイの曲と言ってはじめたのが、『Aurola』だった。どこかでテイラーについて触れるだろうと思ってはいたが、一方で過剰に湿っぽくなってしまうのをデイヴは嫌っていたはずで、上手な持って行き方をしたと思った。

フーファイを決定的なバンドに押し上げた『Best Of You』に続き、オーラスは『Everlong』。特に後者は、97年の第1回フジロックでも演奏されていた曲だが(setlist.fmで確認)、リリース当初はそこまで重要な曲ではなかったはずだ。それを、ライヴの場で演奏し続けることによって育て、深みが増していった曲になったと思う。は、この曲を書いたときのことを教えてくれないかと、最大級とも言える賛辞をした。

いつまでも永遠に続くとデイヴが歌い続ける限り、は歩みを止めることはない。

(注)去年ロサンゼルスで行われたテイラー・ホーキンスのトリビュートライヴに、アラニス・モリセットも参加していたことを確認。

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