*

ロッキー5 最後のドラマ(1990年)

ロッキー5 最後のドラマ

ソ連のボクサー、ドラゴを倒したロッキー。しかしその代償は大きく、脳に障害があると診断され、現役を引退することに。更には義兄の口添えにより委任した会計士が不正を働き、破産することに。一家は故郷フィラデルフィアに戻り、再スタートを図る。ロッキーはかつてミッキーが残してくれたジムでトレーナーを務める。そこに、若いボクサーのトミーがロッキーを訪ねてくる。

『ファイナル』が公開された今となっては、非常に微妙な位置づけになってしまったが、当時はロッキーシリーズを終わらせるために作られた作品だ。『ロッキー2』から『ロッキー4』までは自身が監督していたのが、ここでは第一作の人を監督に起用。舞台も再びフィラデルフィアに移し、かつて自分がトレーニングしていたジムも活動の場にして、つまり原点回帰を強く意識していることが伺える。また、過去4作で描き切れていなかった部分を補完しようとする向きもあって、それはロッキーとミッキーとの絆であったり、親子愛であったりする。

その一方で当時の時流も取り入れようとする向きも見られて、ビッグマッチとビッグマネーを持ちかける黒人プロモーターは、ドン・キングがモデルと見てまず間違いないだろう。また、ミッキーの遺志を継いでこのプロモーターを相手にしないロッキーだが、ミッキーのモデルはどうやらカス・ダマトらしい。終盤で袂を別ってしまったトミーとストリートファイトで対決し勝ってしまうというくだりは、ふつうに考えれば強引極まりない展開だが、ダマトの死後歯止めがかからなくなってしまった、マイク・タイソンを憂えているようにも見える。

脳障害はともかく、手違いから財を失ってしまうという展開は、強引に苦しい状況を作り出そうとしていてなんだか情けない。がしかし、ラストで息子を伴いフィラデルフィア美術館の前に立つシーンや(息子役は、スタローンの次男であるセイジ・スタローン)、エンディングクレジットで過去のシーンが次々に流れるところには、しみじみとしてしまう。

関連記事

ロッキー2(1978年)

強烈なインパクトを与え、シルベスター・スタローンを無名の俳優から一躍有名にさせた『ロッキー』

記事を読む

ロッキー3(1982年)

前作『ロッキー2』の終盤をなぞる形で、物語がスタート。アポロを倒してヘビー級王座を獲得したロ

記事を読む

クリード 炎の宿敵(2018年)

かつてアポロ・クリードと対戦して命を奪ったソ連のボクサー、イワン・ドラゴ。しかしロッキーに敗

記事を読む

ロッキー4

ロッキー4 炎の友情(1985年)

ソ連のアマチュアボクサー、ドラゴが渡米し、エキシビションマッチをすることに。ロッキーのかつて

記事を読む

ロッキー・ザ・ファイナル

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年)

妻エイドリアンをガンで亡くしたロッキーは、レストランのオーナーをしていて客に自分のチャンピオ

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑