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ジョン・レノン、ニューヨーク(2010年)

ジョン・レノン、ニューヨーク(2010年)

が住み、愛し、そして最期を遂げた街、ニューヨーク。そのニューヨークをキーワードにしたドキュメンタリー映画を観た。日本で最初に公開されたのは2011年8月で、11月にはDVDも発売、12月にはWOWOWでジョンの命日に放送された。

時代の描写はほとんどなく、取り扱っていたのはソロ以降の1971年から射殺される80年までの10年間。ジョンのジシャンとしての活動はもとより、政治にリンクした活動、オノ・ヨーコや息子ショーンとの愛、そして死、などが焦点になっている。

コメントを寄せているのは、ヨーコ、写真家のボブ・クルーエン、『ダブル・ファンタジー』をプロデュースしたジャック・ダグラス、ギタリストのアール・スリック、ステージで共演したエルトン・ジョン、クラウス・フォアマン、ジム・ケルトナーら。特に、ヨーコ、ボブ・クルーエン、ジャック・ダグラスのコメントが多かった。の元ビートルは、当時の写真や映像は出てくるが、コメントはなかった。

ジョンがこの世を去ってもう30年(公開時)も経つのに、初めて世に出たであろう映像や音声の目白押しだ。そして、切り口もこれまでのジョンを扱った映像や文献とは異なっていると思う。名盤とされる『ジョンの魂』『イマジン』がほとんどスルーで、『マインド・ゲームス』以降の作品がクローズアップされているのがかなり異色だ。

これにはヨーコとの関係が深く関わっていて、共和党のニクソンが大統領に再選したことにショックを受けたジョンが、泥酔したまま他の女と関係を持ってしまい(しかも隣の部屋にヨーコはいた)、それがきっかけでヨーコに別離を言い渡され、ロスで音楽活動をしながらどうやったらヨーコと和解できるのかを模索。和解後にショーンが生まれ、主夫業に勤しむ。ここに描かれているジョンは生々しく、感情的で、愚かで、そして人間くさい。ワタシたちは、気づかないうちにジョンを神格化していたのではと思わされる。

レコーディングで各メンバーに指示を出す声は厳しく、(表現者としては当然だが)頑固でこだわりを持った人だったのではと思わせる。かと思えば、電話で寿司をオーダーし人数を何度も言い直すところには和まされる。バックに流れるのはほぼジョンのソロの曲だが、その大半はアウトテイクやアコースティックといった別バージョンで、原曲とは異なる味わいがある。

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