*

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(ネタバレ注意)

公開日: : 最終更新日:2021/02/23 作品 ,

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

・シリーズのスピンオフ作品だが、期待以上の出来だった。個人的に、2016年は劇場に足を運んだのはこれが17本目になるのだが、その中でもベストだと言える。

まず、画質がよかった。IMAX3Dで観たということもあるかもしれないが、鮮明で細部まで緻密で、映像というより本物を観ているようだった。『ゼロ・グラビティ』に匹敵するクオリティだったと思っている。大画面の中で迫ってくるデス・スターやスター・デストロイヤーの圧倒的な迫力は、他の作品で味わえるだろうか。

劇中の時間軸では、エピソード3と4の間にあたる。しかしこの間には20年の年月があり、厳密にはエピソード4の直前になる。銀河帝国が惑星をも破壊する強大な兵器デス・スターを完成させ、反乱軍はデス・スターを破壊するために設計図を盗み出さんとする。

主人公ジン・アーソは、幼い頃に母を銀河帝国に殺され、父ゲイレンはデス・スター設計のために拉致される。ジンは生き抜くために無法者となっていたが、反乱軍に確保される。帝国軍を裏切って脱走したボーディーは、ゲイレンのメッセージを反乱軍に届ける。ジンは、父が帝国に協力する風を装いながら、デス・スターに弱点を仕込んだことを知る。

反乱軍本体は設計図奪取の計画を認めなかったが、ジンと将校のキャシアン、盲目の僧侶チアルート、チアルートをバックアップするベイズ、ボーディー、ドロイドのK-2SO、そして10数人の協力者で、帝国軍基地への潜入を試みる。無断で反乱軍基地から離陸する際にコードネームを求められ、ボーディーがとっさに「ローグ・ワン」と答える(ローグは「はぐれ者」という意味らしい)。

本編のキャラクターも、結構登場する。C3-POとR2-D2の名コンビも、一瞬だけだが映る。ローグ・ワンがもし設計図を奪取できれば、「ジェダイの彼」に渡そう、そしてその役目は「彼女」が適任だと、反乱軍の士官が会話するシーンがある。「ジェダイの彼」はオビ=ワン・ケノービを指し、この会話をしている士官は、エピソード2と3に出演していたペイル・オーガナだ。そして「彼女」は・・・。

帝国軍では、ダース・ベイダーが登場。ふだんは培養液が入ったカプセルに浸っていて、人前に出るときに見慣れた姿になる。漆黒のボディーはベイダーの体そのものではなく、体を保護する鎧なのだとわかる。今回、フォースの使い手は敵味方を通じてベイダーだけだ。ラス前、奪われた設計図を取り戻すべくライトセーバーで反乱軍兵士を次々になぎ倒すさまは、敵であり悪であるにもかかわらず、かっこいいと思ってしまう。

ジンもキャシアンも、フォースのような超能力は持ち合わせていない。盲目にして感覚が研ぎ澄まされているチアルートも、フォースを信じてはいるがフォースの使い手ではない。彼ら「名もなき者」たちが、命をかけて設計図を奪取するさまはとても勇ましく、そして泣ける。K-2SOは憎まれ口ばかり叩いているが、最後はまるで義経を守る弁慶のように身を盾にする。

本編でも描かれている父と子の愛は、ここでも描かれている。ゲイレンは娘ジンを「スターダスト」と呼び続けていたが、このキーワードが土壇場で生きてくる。一時期ジンを育てていたソウ・ゲレラは、過激すぎて反乱軍の中では浮いた存在だが、ジンの父的な存在だった時期がある。

キャストは、ジンをフェリシティ・ジョーンズ。個人的には、少し前に『インフェルノ』で彼女を観たばかり。去年観た『エピソード7』のレイ/にも通じる、芯の強い女性を演じている。ボーディーはリズ・アーメッドで、少し前には『ジェイソン・ボーン』、去年は『ナイトクローラー』に出演していた人だ。ペイル・オーガナは、エピソード2&3のときと同じ人が演じている。

ラスト、ダース・ベイダーの手を逃れ、設計図の入ったディスクを受け取ったのは、ペイル・オーガナが言っていた「彼女」だった。白いドレスをまとい、フードをかぶっていて、表情までは伺えない。ディスクに何が入っているのかと聞かれ、彼女は答えた。「Hope(希望)」と。そしてオープンになったのは、CG加工によるレイア・オーガナだ。「Hope(希望)」は、ジンが反乱軍に決起を訴えたときにも発していたキーワードだった。

エピソード4のサブタイトルは、『A New Hope(新たなる希望)』である。本編に、つながった!

関連記事

スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒

スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒(ネタバレあり)

細かいところでのツッコミどころは満載だ。設定が荒かったり、不自然だったりする。そういうところ

記事を読む

スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け

スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け(ネタバレ注意)

死んだと思われていたが、意識が残存しシステムに接続していた、シスの暗黒卿ことパルパディーン。

記事を読む

スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005年)

クローン大戦の勃発から、3年が経過。共和国の最高議長パルパティーンが分離主義勢力に捉えられ、

記事を読む

スター・ウォーズ エピソード8 最後のジェダイ(ネタバレあり)

2時間半を超える大作だったが、ここで終わりか、いやまだ続く、を繰り返す、個人的に見応えのある

記事を読む

スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒(2015年)

2年前に劇場で観て以来、久々に観た。あらすじはそのときの記事を参照するとして、今回観てまた感

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑