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ラブ&マーシー 終わらないメロディー(2015年)

ラブ&マーシー 終わらないメロディー

1966年。ビーチ・ボーイズのほとんどの曲を書いているブライアン・ウィルソンは、スタジオで曲作りに専念したいとメンバーを説得し、ツアーから離れる。バンドに加えオーケストラも動員し、複雑でクオリティの高いサウンドを構築する。歌詞は難解で内省的になり、ツアーから戻ったメンバーは違和感を覚える。

完成した『Pet Sounds』はバンド初のチャート1位を逃したアルバムになるが、シングル『Good Vibrations』のヒットでまき返すと、ブライアンは更なる高みを目指し『Smile』の制作に取り組む。 ‎しかし精神的に追い詰められるブライアンは次第に奇行に走るようになり、結局『Smile』を完成させることを断念する。

1980年代。酒とドラッグに溺れ、表舞台から姿を消していたブライアンは、弟デニスを亡くし更に失意の中にあった。あるとき自動車ディーラーのメリンダと‎知り合い、互いに惹かれあう。しかしブライアンは精神科医の管理下にあり、自分の意思で行動することを拒んでいた。メリンダは精神科医の薬の投与が多く、ブライアンを更にだめにしていることを見抜き、ブライアンを救おうとする。

ブライアン・ウィルソンの伝記映画だが、ブライアンはもちろん今も健在で、本人公認とのことだ。60年代と80年代の2つの時代に場面が何度も入れ替わる手法が取られ、60年代の若きブライアンをポール・ダノ、80年代のブライアンをジョン・キューザックが演じるという、2人1役の構成になっている。ジョン・キューザックはブライアンに全く似ていない一方、ポール・ダノのなりきりぶりがすごい。

60年代は『Pet Sounds』のレコーディングが軸になっていて、監督はきっとこのアルバム大好きなんだなあと思ってしまう。一方、80年代前半のブライアンに焦点が当たったのは、とても新鮮。ブライアン再生の裏には、後に結婚し現在もブライアンに寄り添っているメリンダの存在があったのかと思わされるが、納得だ。

メリンダは、エリザベス・バンクスが演じている。『スリーデイズ』での‎ラッセル・クロウ演じる夫の妻役や、『ハンガー・ゲーム』シリーズでジェニファー・ローレンス演じるカットニスの「ぶっ飛んだ」付添人エフィーで観たことがあるが、今回のメリンダは色気がありつつ知的でもあって、なおかつ芯の強さも見せている。ブライアンに並ぶ、‎もうひとりの主人公と言っていいだろう。

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