*

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 (2014年)

公開日: : 最終更新日:2023/02/12 DVD・映像

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 (2014年)

1961年のニューヨーク、グリニッジビレッジ。ライヴハウスで歌うフォークシンガーのルーウィン・デイヴィスは、アルバムが売れずに金銭に苦しく、住む家もなく知人宅を転々とする日々。女友達には妊娠を告げられ、知人の猫には振り回される。プロデューサーに会いに行くためにシカゴに向かうドライブの車中では、同乗したジャズジシャンとそりが合わない。そのプロデューサーからは「ヘタではないが、金の匂いはしない」と本質を突かれ、ミュージシャンを諦めて前職の船員に戻ろうとする。しかし、未納だった会費を支払った後に免許証を紛失していることがわかる・・・。

サクセスストーリーどころか、やることなすこと何もかもうまくいかないル-ウィン。それでも、自身のシンガーとしてのポリシーは曲げない。その不器用さゆえ、周囲とぶつかることも少なくない。ルーウィンには、心を許せる友人は果たしていただろうか。

しかし、この作品がダメ男の挫折劇と言い切れないのは、ルーウィンを演じるオスカー・アイザックの、魂からにじみ出たような名演による。ルーウィンの弾き語りシーンは、吹き替えなしでこの人が歌い演奏したとのことで、その場面は際立って素晴らしい。脇を固めるのは、女友達ジーンにキャリー・マリガン(『ウォール・ストリート』での恋人役)、ジーンの恋人ジムにジャスティン・ティンバーレイク、ジャズミュージシャンにジョン・グッドマン、その弟子でドライブに同乗するジョニーにギャレット・ヘドランド(『トロン:レガシー』で主人公のサム)だ。

ライヴハウスでのルーウィンの弾き語りシーンは冒頭とラストになっていて、ラストを観たときに冒頭の場面につながっていくのだと、観る側は知らされる。ただしラストではルーウィンのライヴの後も描かれていて、入れ替わりにステージで歌っていたのは、若き日の(らしき男)だった。

関連記事

ボブ・ディラン(Bob Dylan)『No Direction Home』

ボブ・ディランのドキュメンタリー映像『ノー・ディレクション・ホーム』を観た。DVD2枚組で、

記事を読む

ボブ・ディラン(Bob Dylan)『New Port Folk Festival 1963 – 1965』

ニューポート・フォーク・フェスティバルにおける、ボブ・ディランのライヴパフォーマンスを集約し

記事を読む

デイヴ・ヴァン・ロンク(Dave Van Ronk)

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』の主人公ルーウィンには、デイヴ・ヴァン・ロンクというモ

記事を読む

ボブ・ディラン(Bob Dylan)『ボス・エンズ・オブ・ザ・レインボー ー1978-1989 信仰と混迷の時代ー』

ボブ・ディランのドキュメンタリー映像シリーズVol.3で、取り扱う時代は1978年から198

記事を読む

ボブ・ディラン 我が道は変る

ボブ・ディランの活動初期である、1961年から1965年までの5年間に焦点を当てた映画を観た

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑