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ポール・マッカートニー(Paul McCartney)_東京ドーム:2015年4月25日

公開日: : 最終更新日:2020/06/13 Paul McCartney ,

なんでもポールの会場入りが遅れたらしく、必然的にサウンドチェックも遅れた。開場時間になっても入れる気配はなく、東京ドーム前は人で溢れかえることに。一瞬、去年の国立競技場のカオスな光景がよみがえったが、結局1時間遅れて開場が始まった。

スクリーンの映像に併せて流れる、ポールやナンバー。『Silly Love Song』の終盤がループ状態になったところで客電が落ち、いよいよそのときは来た。バンドを引き連れるようにポールが登場し、日本語を駆使して挨拶。「カエッテキタゼ」「ユウゲンジッコウ」とか。そして、ライヴは大阪や一昨日と変わり、『Eight Days a Week』でスタートだ。

個人的事情により、今回の公演を観れるかどうか微妙だったので、チケットを取ったのはほんの数日前。その券種は、「ステージが見えづらい、あるいは見えない」とされる「参加席」だった。席は、外野レフトスタンドにして、ステージを真横に観る格好。バックドロップの映像、およびドラマーやキーボーディストは全く見えないが、ポールと2人のギタリストは見える。縦長のスクリーンも設置されているので、申し分ない。

新譜『New』からの『Save Us』を経て、またセットリストを『All My Loving』に変えてきた。ビートルズ初期のポールの曲にして、ライヴ序盤の勢いづけにはもってこいの曲だ。この後『Jet』となり、勢いは更に加速する。ポールは、『Paperback Writer』のときにスカイブルーのジャケットを脱いで白いシャツ姿になった。

ピアノコーナーでは、現在の妻ナンシーに捧げた『My Valentine』、最初の妻リンダに捧げた『May Be I'm Amased』と、観る側の感性を刺激してくる。ただ、この日はさすがに高音になると声が若干かすれているように聞こえた。そして、ここでの個人的ハイライトは『Nineteen Hundred and Eighty-Five』だ。スケール感に溢れる曲に、粗っぽさを上乗せし思った以上にインパクトがあった。

中盤は、バラエティ感満載だった。まずビートルズナンバー。かなりレアな部類と思う、『I've Just Seen a Face』や『All Together Now』。実験性溢れる『Lovely Rita』や『Being for the Benefit of Mr. Kite!』。対してソロからは、新譜のタイトル曲『New』。シンプルな曲調の『Another Day』。そして、ゲームジック用に卸した新曲『Hope for the Future』。ゲーム用とは言ってもテクノやダンス調にすることはなく、ポールらしいメロディアスな曲だ。

個人的ピークは『Blackbird』だった。ステージ中央手前に突きだしたミニステージにポールは立ってアコギを弾きながら歌うのだが、歌っている最中にこのミニステージがせりあがり、ワタシの参加席からもことのほか良く見えた。そして、5万人を前にアコギ1本で歌う72歳のポールが、とてもカッコよく見えた。これができるアーティストが、ほかにいるだろうか。

続くに捧げた『Here Today』のときに、せりあがったステージが元に戻った。また、ウクレレからバンドモードにシフトする『Something』はもちろんの曲で、ジョージに捧げられていた。シンガロングしやすいとはいえ、『Ob-La-Di, Ob-La-Da』はドーム内が大合唱になった。

ポールは、足元に用意しているカンペを何度も見つつ、日本語をかなり使ってMCをこなした。曲間、いや場合によっては曲中でも、おどけたような素振りをしてみせたり、小刻みに全身を躍動させたりしていた。2人のギタリストは、ポールの向かって左にいる黒髪の人がリードを担うことが多く、反対側のブロンドの人はというと、ポールがギターやピアノのときにベースを弾いていた。

鉄板ソング『Band on the Run』から終盤となり、怒濤のラッシュとなる。『Live and Let Die』でマグネシウムが炸裂する演出は今やお馴染みだが、終盤では焦げ臭い臭いが漂っていて、これにはポールも反応していた。本編ラストはもちろん『Hey Jude』で、終盤のコーラスは「ダンシ」「ジョシ」「ミンナ」と、ポールは場内オーディエンスを誘導した。

アンコール。ポールが日の丸を、巨漢ドラマーがユニオンジャックを、それぞれ力強く振ってくれた。曲は、かつてもカヴァーしていた『Day Tripper』で始まり、お祭りソング『Hi, Hi, Hi』を経て、大阪や東京初日では序盤に演奏されていた『Can't Buy Me Love』となった。セトリ変更、なるほど。

セカンドアンコールは、名曲『Yesterday』から、最もハードなビートルズナンバー『Helter Skelter』へ。この後ポールは、スタッフなバンドに感謝の意を表し、そして『Abbey Road』ラストを再現する『Golden 『Slumbers』~『Carry That Weight』~『The End』を。こうして、約2時間40分に渡ったライヴは終わりを告げた。

Setlist
Eight Days a Week
Save Us
All My Loving
Jet
Let Me Roll It
Paperback Writer
My Valentine
Nineteen Hundred and Eighty-Five
The Long and Winding Road
May Be I'm Amased
I've Just Seen a Face
We Can Work It Out
Another Day
Hope for the Future
And I Love Her
Blackbird
Here Today
New
Queenie Eye
Lady Madonna
All Together Now
Lovely Rita
Eleanor Rigby
Being for the Benefit of Mr. Kite!
Something
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Band on the Run
Back in the U.S.S.R.
Let It Be
Live and Let Die
Hey Jude

Encore:
Day Tripper
Hi, Hi, Hi
Can't Buy Me Love

Encore 2:
Yesterday
Helter Skelter
Golden Slumbers
Carry That Weight
The End

曲数もセットリストも1年半前とだいたい同じはずだが、時間が10分ほど短くなった。そうなるのはライヴ中からうすうす感じていて、というのは、曲と曲の間がより短縮され、テンポよく進んでいたからだ。その中でもポールはアドリブを入れ、MCも入れ、コール・アンド・レスポンスもやり、と、とにかくサービス精神を忘れていない。

ドームクラスの会場で連日公演をこなすことや、会場入りが遅れたことなどもあり、さすがに72歳という年齢を思わずにいられなかった。がしかし、ポールの見た目は、ライヴ開始時から終盤に向かうにつれ、どんどん若返っているかのような錯覚さえ受けた。

去年5月、国立競技場到着直前に開催延期の知らせを聞き、その後中止になってしまったリベンジは、思った以上に早く果たされたのだ。

ありがとう。
ありがとう。
ありがとう、ポール。

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